大阪 無実の罪で拘束 国に賠償求めた母親の上告退ける 最高裁

29年前、大阪 東住吉区で小学生の女の子が死亡した火事をめぐり、無実の罪で20年以上拘束された母親が国と大阪府に賠償を求めた裁判で、最高裁判所は4月1日までに母親側の上告を退ける決定をし、国の責任を認めない判決が確定しました。大阪府に対しては警察の責任を認めて府に賠償を命じた判決がすでに確定しています。

29年前、大阪 東住吉区の住宅が全焼し、当時11歳の女の子が死亡した火事で、母親の青木惠子さんは放火や殺人などの罪に問われ、無期懲役の刑で服役しましたが、8年前に裁判がやり直され、無罪が確定しました。

青木さんは、警察の取り調べでうその自白をさせられて20年以上不当に拘束されたなどとして、大阪府と国に賠償を求める裁判を起こしました。

1審の大阪地方裁判所と2審の大阪高等裁判所は警察の責任を認めて府に1200万円余りの賠償を命じましたが、検察の対応についての国の責任は認めず、青木さん側が上告していました。

これについて最高裁判所第1小法廷の岡 正晶裁判長は4月1日までに青木さん側の上告を退ける決定をし、国の責任を認めない判決が確定しました。

大阪府に対する判決は府が上告しなかったため、すでに確定しています。

青木さん「司法はおかしい」

最高裁判所の決定について青木さんは、代理人の弁護士を通じて「警察をチェックできない検察は必要ない。最高裁は刑事裁判を変える機会を棒に振った。司法はおかしい」とコメントしました。

青木さんの弁護団は「最高裁の判断は、検察官の捜査の怠慢などが許されるとの誤ったメッセージを発しかねないものであり、強い非難に値する。今回の決定で刑事民事ともに裁判が終了するが、われわれはえん罪が発生する構造の分析などを今後も粘り強く行う」などとコメントしています。