石川 珠洲 被災者の自主避難所を閉鎖し作業員宿舎として使用へ

石川県珠洲市では能登半島地震で被災した建物の公費による解体・撤去が今後、本格化するのを前に、作業員の宿舎の確保が課題になっています。地震のあと被災者の自主避難所の1つとなっていた施設が作業員宿舎として使われることが決まり、自主避難所としては、3月31日で閉鎖されることになりました。

珠洲市蛸島町にある市の施設「元気の湯」は能登半島地震のあと、被災した住民たちの自主避難所となり、10人ほどが身を寄せていました。

珠洲市がこの施設を、被災した建物の解体・撤去や復旧工事などにあたる作業員のための一時的な宿舎にする方針を決めたため、自主避難所としては31日をもって閉鎖されることになり、退去することになった人たちが荷物をまとめていました。

住民の中には別の避難所に移る人のほか、被災した自宅などに戻ることを決めた人もいます。

自主避難所で住民のまとめ役をしてきた能村雅弥さんは「自分の家に帰る人もいますが、地震はまだ続いているので崩れたりしないか心配もあります」と話していました。

珠洲市では地震で被災した建物の公費による解体・撤去を希望する人たちからの段階的な申請の受付が3月25日から始まりました。

4月以降、解体・撤去の工事が本格化し、市内だけで200人を超えると想定される作業員のための宿舎の確保が課題になっているということで、珠洲市は応急の宿舎が新設されるまでの間、市内の国民宿舎やホテルについても一時的な宿舎として活用し、復旧を加速させたいとしています。

被災した自宅に戻る人も

珠洲市は「元気の湯」に身を寄せていた被災者に対し、時間をかけて退去が必要なことについての説明を行い、「理解を得た」としています。

市側はほかの避難所への移動を提案していますが、半数以上の人が被災した自宅など避難所とは別の場所に移ることを決めているということです。

菅野貞夫さん(68)は自主避難所の閉鎖を受けて、同じ珠洲市蛸島町にある自宅に戻ることを決めましたが、壁が一部崩れたり傾いたりするなどして、「中規模半壊」の認定を受けています。

地震発生から3か月がたつ中、すでに一定の被災者のコミュニティーができあがっているほかの避難所に移ることにためらいがあるといい、仮設住宅で暮らせるようになるまでの間は自宅にとどまるつもりだといいます。

菅野さんは「気心知れた人ばかりで、和気あいあいと3か月過ごすことができ、よかったです。再び大きな地震が起きないことを願って、なんとか過ごしていきます」と話していました。