【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(3月30日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる30日(日本時間)の動きをお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ軍総司令官 軍事支援の必要性訴える

ウクライナ軍のシルスキー総司令官は、軍事侵攻を続けるロシア軍との前線において砲弾の数はロシア軍の6分の1程度にとどまっていると危機感を示し、欧米などに対し、軍事支援の必要性を改めて訴えました。

ゼレンスキー大統領も29日に掲載されたアメリカの有力紙ワシントン・ポストとのインタビューで、「アメリカの支援がなくなることは防空システムなどがなくなることを意味する。一歩ずつ後退しなければならなくなる」と述べ、改めて、軍事支援の必要性を訴えています。

また、ウクライナ軍は兵力不足にも直面し、45万人から50万人の追加の動員が必要ともされていますが、シルスキー総司令官は同じインタビューの中で、「部隊の構成を見直した結果、大幅に減少した」と述べ、具体的な数字は言及しなかったものの、必要な動員の規模は縮小されたという考えも示しました。

モスクワ郊外のテロ事件 発生から1週間

ロシアの首都モスクワ郊外のコンサートホールで22日に起きたテロ事件は29日で発生から1週間となり、これまでに144人が死亡したと発表されています。

過激派組織IS=イスラミックステートとつながりのある「アマーク通信」はISの戦闘員による犯行だと伝え、実行犯とされる中央アジアのタジキスタン国籍の4人が起訴されました。さらに、ロイター通信は29日、タジキスタンの治安当局の関係者の話として、ISとの関係が疑われる9人を新たに拘束したと報じました。

事件を巡ってプーチン大統領はウクライナ側が関与したとする主張を続けていますが、ウクライナは全面的に否定しています。アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は28日、「プーチン大統領は民族的な緊張が高まることを懸念し、ウクライナと欧米側を非難している可能性がある」と指摘しました。

プーチン大統領はロシア国内に中央アジア出身の人たちも多く暮らすことから、社会で緊張が高まることを懸念し、ウクライナ側が関与したとする主張を強調しているという見方も出ています。

NATO加盟国 ルーマニアに無人機の一部落下か

ルーマニア国防省は今月28日、ドナウ川を挟んでウクライナと国境を接する東部の農地に無人機の一部とみられるものが落下しているのが見つかったと、29日発表しました。

ただ、この無人機がロシアのものかウクライナのものかは明らかにしていません。AFP通信はけが人はいないと伝えています。

ドナウ川沿いにはウクライナの農産物を運び出す拠点があり、去年9月のロシアによる無人機での攻撃の際にもルーマニア領内で無人機の一部とみられるものが見つかっています。

NATOに加盟するルーマニアはこうした事態に抑制的に対応していますが、警戒を強めているとみられます。また、同じくNATO加盟国のポーランド軍も今月24日、ロシア軍のミサイルがおよそ40秒にわたって領空に入ったと発表していて、ロシア軍によるウクライナへの激しい攻撃が周辺のNATO加盟国との不測の事態につながらないか懸念されています。