【30日詳細】イスラエル アラブ諸国多国籍軍の一時派遣提案か

ガザ地区の人道状況が深刻化するなか、今週、訪米したイスラエルの国防相が支援物資を運ぶ車列などの護衛のため、アラブ諸国からなる多国籍軍の一時的な派遣を提案をしたとアメリカのメディアが伝えました。ただ、アラブ側の否定的な見解も紹介されていて、実現は困難が予想されます。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間3月30日の動きをお伝えします。

イスラエル軍はガザ地区の各地で軍事作戦を続けていて、ガザ地区の地元当局は29日、北部の2か所への攻撃で住民と警察官あわせて17人が死亡したと発表し、「人道的サービスを住民たちに提供する警察官を標的にした」とイスラエルを非難しています。

こうした中、アメリカのニュースサイト、アクシオスは29日、当局者の話として、今週、訪米したイスラエルのガラント国防相がアメリカのオースティン国防長官らに、ガザ地区で支援物資の搬入を行う車列などの護衛のため、エジプトを含むアラブの3か国からなる多国籍軍の一時的な派遣を提案したと伝えました。

記事ではイスラエルの当局者がすでにこの3か国とも協議をしているとした一方で、アラブ側の当局者の話として、アラブ諸国は戦闘終結後に平和維持軍を派遣することは検討するかもしれないが、現時点で支援物資の護衛のために部隊を派遣する用意はなく、「ガラント氏は誤解しているようだ」という厳しい見方も紹介しています。

さらに、アラブ諸国にとって部隊の派遣はイスラエルのネタニヤフ政権が拒んでいるパレスチナとの2国家共存による和平に向けたものである必要があるとしていて、構想の実現は困難が予想されます。

イスラエル 交渉団派遣明らかに 戦闘休止など交渉再開へ

イスラエルとイスラム組織ハマスの間の戦闘の休止などをめぐる交渉について、イスラエル側は数日以内に再び交渉団を派遣すると明らかにし、交渉が再開される見通しです。

イスラエルとハマスの間ではカタールなどを仲介役として、戦闘の休止と人質の解放などに向けた交渉が続いてきました。

しかし、ハマスは今月25日、イスラエルと仲介国側から提示された案について、完全な停戦を求める立場を改めて示して、事実上、拒否し、これに対してイスラエル側はハマスの要求には応じないとして交渉が中断していました。

イスラエル首相府は29日の声明で、「ネタニヤフ首相が次回の協議を行うことを承認した」として、数日以内に再び交渉団を派遣することを明らかにしました。ハマスも交渉そのものは拒否していないため、交渉は再開される見通しです。

ガザ地区では連日、イスラエル軍による空爆が行われ、パレスチナの地元メディアは29日、北部のガザ市や南部への激しい空爆で子どもや女性を含む少なくとも20人が死亡したと伝えています。

ガザ地区の保健当局は29日、過去24時間で71人が死亡し、これまでの死者が3万2623人にのぼったとしていて、交渉が進まない中で住民の犠牲が増え続けています。