米政府系ラジオ局 香港の事務所閉鎖 「国家安全条例」が影響

香港でスパイ行為など国家の安全を脅かす行為を取り締まる「国家安全条例」が施行されてから30日で1週間となりました。アメリカ政府系ラジオ局は、新たな条例によって安全に活動できるのか深刻な疑問が生じたとして、香港の事務所を閉鎖したことを明らかにしました。

香港では今月23日に「国家機密」を盗むことやスパイ行為、外国勢力による干渉などを犯罪として取り締まる「国家安全条例」が施行され、欧米各国などからは恣意(しい)的な運用が可能だとして懸念の声があがっています。

こうした中、ワシントンに本部があるアメリカ政府系ラジオ局「ラジオ・フリー・アジア」は29日、声明を出し「条例の制定により安全に活動できるのか深刻な疑問が生じた」として香港の事務所を閉鎖したことを明らかにしました。

「ラジオ・フリー・アジア」は、これまで香港や中国本土の政治や社会問題など独自の取材に基づき報道してきましたが、香港の当局は「ひぼう中傷だ」などと批判していました。

「ラジオ・フリー・アジア」は「閉鎖的なメディア環境に対応し異なる報道形式に移行する」として、引き続き、香港や中国本土に向けて情報を提供していくとしています。

地元メディアは、香港のスタッフは台湾やワシントンに移ると伝えていて、香港での言論統制が強まっている象徴だとの受け止めも広がっています。