機能性表示食品のデータベース 約15%半年以上更新されず

小林製薬が機能性表示食品として販売していたサプリメントを摂取した人が、腎臓の病気などを発症した問題を受け、消費者庁が公表している機能性表示食品の安全性などについてのデータベースを民間の調査会社が調べたところ、全体の15%近くにあたる、およそ1000の製品の情報が、半年以上、更新されていないことがわかりました。

消費者庁は、情報に変更があった場合に、事業者に速やかな更新を求めていて、専門家は「情報公開が企業の自主性に委ねられているために消費者が活用できるデータベースになっていないのが問題で、制度の抜本的な見直しが必要だ」と指摘しています。

機能性表示食品は、安全性と機能性の科学的根拠などを、製品を販売する事業者が消費者庁へ届け、その情報のデータベースが公開され、誰でも見られるようになっています。

消費者庁によりますと、情報に変更があった場合は、速やかな更新を事業者に要請していて、製品の販売が行われているかどうかはおよそ半年に一回、情報を更新するよう求めていますが、東京商工リサーチが27日時点のデータベースを詳しく分析したところ、現在、届け出が行われている6749製品のうち、14.5%を占める982製品の情報が、少なくとも半年以上、更新されていないことが分かったということです。

中には会社の住所地などが変更されていたり、すでに倒産した会社の製品の情報が更新されていないままになったりしているケースも見られたということで、東京商工リサーチは「問い合わせを十分できない可能性もあり、消費者の信頼を失いかねない」としています。

この結果について食の安全に詳しい科学ジャーナリストの松永和紀さんは「そもそも機能性表示食品は、消費者の判断の元になる情報の公開を企業の自主性に任せて消費者がチェックした上で買うというかなり無理のある制度だ」としたうえで「およそ半年ごとの情報が未更新の製品がおよそ15%あるのを放置していたことは消費者庁にも責任がある。一般の消費者が情報を調べてきちんと把握できるデータベースになっていないのが問題で、制度自体の抜本的な見直しが必要だ」と指摘しています。

機能性表示食品 国内市場 年々拡大

民間の調査会社、富士経済によりますと、機能性表示食品の国内市場は年々拡大していて、制度が始まった2015年には314億円だったのに対し、去年は6865億円にのぼると見込まれるとしています。

おととしよりも19.3%増加していて、ことしは7000億円を超えると予測されています。

特に
▽脂肪を減らすや
▽睡眠の質を高めるといった効能をうたう食べ物や飲料が市場拡大を後押ししているということです。

一方、「特定保健用食品=トクホ」の市場は2019年以降縮小傾向で、去年は2690億円とおととしと比べて4%余り減る見込みです。

富士経済は、国の審査に時間や費用がかかるトクホに比べて届け出がしやすいことが機能性表示食品の市場が伸びている要因の一つだと分析しています。