世界最小のらん「ヨウラクラン」の受粉 体長1ミリのハエが関与

日本を代表する植物分類学者 牧野富太郎博士の名前を学名に持つ世界最小のらん「ヨウラクラン」の受粉に、体長が1ミリほどのタマバエが関わっていることが東京大学附属小石川植物園の研究でわかりました。

らんの9割近くは受粉がどのように行われているか解明されておらず、植物園は貴重ならんの繁殖にもつながるとしています。

ヨウラクランは花の大きさが1ミリ以下で世界最小のらんといわれ、国内では宮城県以南に分布しています。

牧野博士が最終的な分類を定義し学名には、Oberonia japonica(Maxim.)Makino(おべろにあ やぽにか(まきしもびっち)まきの)と博士の名前がつけられています。

植物の受粉は風など自然によるものや虫などが媒介するケースがありますが、ヨウラクランについては、具体的なことはわかっていませんでした。

牧野博士も長年所属した小石川植物園で研究を続ける東京大学大学院生の砂川勇太さんは去年5月、愛知県内の梅園で開花したヨウラクランを26時間以上連続して観察し、夜8時から翌朝にかけて大量の体長1ミリほどのタマバエが体に花粉の塊をつけるなどして受粉に関わっていることを初めて確認したということです。

らんは世界全体で2万8000種が分布していますが、その9割近くは受粉がどのように行われているかわかっておらず、ほかのランの受粉方法の解明にもつながる可能性があるということです。

この研究結果は論文として30日に発行されたアメリカの学会誌に掲載されました。

小石川植物園の園長で東京大学大学院の川北篤 教授は「世界最小級のランに最小級の花粉を運ぶ昆虫が関与していたということだ。植物と昆虫とのこうした関係を維持するために人がどんな環境を守ればいいのかがわかってくるので大きな意義がある」と話しています。