都立高校 自転車通学 新年度からヘルメット着用が条件に

自転車に乗るすべての人を対象にヘルメットの着用が努力義務化されてからまもなく1年となります。着用率の低さが課題になる中、都立高校では新年度から自転車通学の条件としてヘルメットの着用を新たに求めることになりました。

道路交通法の改正で、去年4月から自転車に乗るすべての人を対象にヘルメットの着用が努力義務になり、警視庁などは各地で交通安全教室を開くなど啓発を進めていますが、都内では着用率の低さが課題になっています。

このうち、高校生については今年度、都立高校の生徒のおよそ45%にあたるおよそ5万5000人が自転車通学をしていますが、東京都教育委員会によりますと、去年11月時点の着用率は5.5%ほどにとどまっているということです。

これを受けて、東京都教育委員会は都立高校などに対し、生徒の自転車通学を認める条件にヘルメットの着用を加えるよう求める通知を出し、新年度から運用が始まることになりました。

それぞれの学校では警察署と連携して、登下校時にヘルメット着用の指導を行うなどして浸透を図ることにしています。

東京都教育庁指導部 安全教育担当の加藤憲司 主任指導主事は「ヘルメットを正しく着用することで安全な通学につながると思う。自分の命を守るために着用が当たり前だという意識を持ってもらいたい」と話していました。

都内の自転車事故割合 全国平均2倍 ヘルメット着用率も伸び悩む

警視庁によりますと、おととし、都内で起きた交通事故のうち、自転車が関わる事故の割合は46%で、全国平均のおよそ2倍となっています。

ヘルメットの着用率も伸び悩んでいて、ことし1月時点の都内の着用率は9.1%と全国平均を下回っている状況です。

去年までの5年間に都内で自転車事故で亡くなった人のうち、およそ64%が頭に致命傷を負っていて、ヘルメットを着用していない場合、着用している場合と比べて致死率がおよそ2.7倍高くなったということです。

警視庁は「都内の自転車のヘルメットの着用率はまだまだ低い。頭を保護することで守られる命もあるのでぜひ着用してほしい」としています。

ヘルメットの啓発進める高校は

東京 江戸川区の都立篠崎高校では全校生徒800人余りのうち、およそ9割が自転車通学をしています。

去年4月に自転車のヘルメット着用が努力義務化されたことを受けて、生徒会がオリジナルの動画を作ってヘルメットの安全性を伝えたり、サッカー部の生徒たちが率先して着用したりするなど、生徒みずからが着用を呼びかけてきました。

学校によりますと、去年4月には通学の際にヘルメットをかぶる生徒はほとんどいなかったということですが、今ではおよそ4割の生徒が着用するようになったということです。

学校では東京都教育委員会からの通知を受けて、新年度からは自転車通学の許可の書類にヘルメットの着用が必要だと明記することにしていて、生徒の安全意識がより高まると期待しています。

久保静生校長は「みんなが着けているから自分もしようといった声や、夏場は蒸れるから着けたくないといった意見もある。この機会にヘルメット着用の大切さを伝えていきたい」と話しています。