高校野球 仙台育英 地震被災地 珠洲と輪島の2校と練習試合

能登半島地震で被災した石川県の珠洲市と輪島市にある高校の野球部を招いて、野球を通して交流をしている仙台育英高校は28日、それぞれの高校と練習試合を行いました。

仙台育英は能登半島地震で被災した高校球児を励まそうと、27日から珠洲市と輪島市の高校を招いて、ともに野球の練習をしています。

2日目の28日は、仙台育英の保護者会から昼食として3校の野球部員に牛丼と豚汁がふるまわれ、選手たちは温かい食事をとりながらお互いのチームのことや被災地での生活のことを話していました。

そして、午前中の輪島高校に続いて午後からは、珠洲市の飯田高校と仙台育英高校との練習試合が行われました。

飯田高校の笛木勝監督は11年前からチームを指導してきましたが、人事異動で今月末に学校を離れることから、この試合が飯田高校の選手たちと臨む最後の試合となりました。

強豪の仙台育英戦を前に笛木監督は「きょうがこのチームでの最終章だ。どれだけ点を取られようと、三振しようと楽しもう」と選手に声をかけました。

試合は笛木監督が「いつもどおりに」と声を出し、選手たちはそれに応えるように、練習してきた打撃や走塁で1回と3回に得点を奪いましたが、8回に仙台育英の打線につかまり、4対6の2点差で敗れました。

それでも、選手たちは最後まで声を出して、はつらつとしたプレーを見せ、震災以来初めて行う試合の感覚を楽しんでいました。

飯田 笛木勝監督「選手の姿に心打たれ勇気をもらった」

試合後、飯田高校の笛木勝監督は「試合内容もよく、楽しむこともできたナイスゲームだったと思います。グラウンドの中でプレーする選手の姿に心打たれ、勇気をもらいました」と振り返りました。

そのうえで、今月末をもって飯田高校を離れることについては「寂しいですし、部員たちと離れて暮らすことに後ろ髪引かれる思いがあります。教員として別の学校でも子どもたちのためにどんな支援ができるのか、きっと考え続けると思います。コロナ禍で大会がなくなり、落ち着いたときに地震もあってずっと苦しんできた生徒たちなので、夏の大会でいちばんに野球を楽しんでほしいです」と話していました。

飯田 中市大翔選手「自分たちのベストな試合だった」

28日の試合で3打数2安打の活躍を見せた飯田高校の中市大翔選手は「監督が離任する前の最後の試合だったので、何より楽しむことを意識して試合をしていました。日本一の高校から打って、機動力も使って点が取れました。自分たちのベストな試合だったと思います」と話しました。

笛木監督が高校を離れることについては「いつも厳しく指導してくれた人がいなくなるので寂しいです。これからどうしていけばいいのか不安もあります」と話していました。

仙台育英 須江航監督「逆境に屈しないで頑張る強さを感じた」

仙台育英の須江航監督は飯田高校との試合のあと、「ピッチャーも粘り強く投げていたし、バッターも振れていて、ここいちばんの勝負強さもある。環境がない中でも、一生懸命練習している様子と、逆境に屈しないで頑張る強さを感じた。監督と最後に一緒に野球ができる喜びや決意もとても感じました」と話していました。

今月末をもって飯田高校を離れる笛木勝監督について「懐が大きくて、子どもたちに話しかける姿が優しくて、子どもたちも信頼している様子がうかがえました。すばらしい指導者なんだろうと思います。教わってきた野球や、考え方はすばらしいと思うので、苦しい中での活動になると思いますが、飯田高校の選手たちには自信を持って情熱を燃やして夏に向けて頑張ってほしいです」と話していました。