重い希少疾患の治療薬 患者団体が迅速な承認を訴える

国内に400人程度の患者しかいないとされる「遠位型ミオパチー」という難病の初めての治療薬が国から承認され、28日、患者団体が会見で、治療法のない重い希少疾患について治療薬の迅速な承認を訴えました。

会見を開いたのは、国内の患者の数が400人程度とされ、徐々に筋力が低下していく「遠位型ミオパチー」という難病の患者団体です。

この難病は、これまで治療薬がありませんでしたが、15年にわたる研究開発の末、26日、症状の進行を遅らせる初めての治療薬が世界に先駆けて承認されました。

会見に出席した患者団体の代表の織田友理子さんは「新薬の承認にこのうえない喜びと、感謝を感じています。ただ、薬を目前にしながら亡くなった方もいますし、自分自身も症状が進行する前に薬を飲みたかったです」と話しました。

現在、日本では治療法のない希少疾患に対して一定の条件のもと早期に治療薬を承認する制度がありますが、今回の治療薬をめぐっては、6年前までに国内の治験で有効性と安全性が確認されていたものの海外の治験で、有効性が確認できていないとして、この制度での承認は実現せず、追加のデータを出すよう求められていたということです。

織田さんは「治療薬がない希少疾患については一定の安全性が認められれば、希少疾患の新薬開発を推進するためにも、早期に薬を承認する制度を積極的に適用してほしい」と訴えました。

患者団体では、近く国に要望書を提出することにしています。

希少疾患の患者どうしをつなぐウェブサイト

希少疾患は治療薬の治験を行う際に参加者を集めるのが難しいことが課題の1つとなっていて、その背景には患者が極めて少ないため患者会などのネットワーク作りの難しさがあると指摘されています。

こうした重い希少疾患の患者どうしの交流や連携を支援しようと、難病や慢性の病気の患者会で作る「日本難病・疾病団体協議会」では、患者会などの情報を紹介するウェブサイトを公開しています。

「なんコミュ」という通称のこのサイトは、患者数が1万人未満とされる67の難病などが登録されていて、病名を入力することで同じ病気と向き合う患者が発信しているSNSや患者会の連絡先などを検索することができるということです。

自身も神経難病の患者で「日本難病・疾病団体協議会」の辻邦夫 常務理事は「最近は治験の情報を患者会と製薬会社などが共有することが多くなっていて、希少疾患であればあるほど患者と医療側の協働が重要になっている。サイトを通じて、患者が、支援につながる情報にアクセスできるようにしていきたい」と話していました。