大相撲 宮城野部屋 移籍先は宮城野親方含め全員伊勢ヶ濱部屋に

大相撲の宮城野部屋で起きた暴力問題を受けて、元横綱 白鵬の宮城野親方を含め部屋の全員が、同じ一門の伊勢ヶ濱部屋に移籍することになりました。日本相撲協会によりますと、具体的な期間は定めていないということで、宮城野部屋は当面、閉鎖の状態となります。

宮城野親方は、弟子の元幕内、北青鵬が後輩力士2人に暴行を繰り返した問題で、監督責任などを問われて日本相撲協会から2階級降格と報酬減額の懲戒処分を受け、3月に行われた春場所では同じ伊勢ヶ濱一門の玉垣親方が師匠代行を務めました。

4月以降は一門で預かった上で宮城野親方に師匠・親方としての指導を行うことになっていて、協会と一門で協議した結果、宮城野親方を含めた部屋の全員を伊勢ヶ濱部屋に移籍させることを決め、28日に都内で開かれた協会の理事会で報告されました。

協会によりますと、宮城野親方は部屋付きの親方になるほか、力士たちは次の夏場所以降、伊勢ヶ濱部屋の所属として土俵に上がることになります。

また、移籍の具体的な期間は定めていないということで、宮城野部屋は当面、閉鎖の状態となります。

宮城野親方が師匠に復帰する時期については、場所が終わるごとに一門が協会に状況を報告し、検討していくということです。

伊勢ヶ濱部屋は元横綱 旭富士の伊勢ヶ濱親方が師匠を務め、横綱 照ノ富士や春場所で新入幕として110年ぶりに優勝を果たした尊富士などが在籍しています。

協会の広報部長を務める佐渡ヶ嶽親方は「部屋がなくなるわけではない。一時、預かりということだ。伊勢ヶ濱親方から師匠としての教育をしてもらって宮城野親方が立派になってくれればいいし、またいい弟子を育てていってほしい」と話していました。

一門と協会の議論の経緯

宮城野親方の処分が決まった2月23日の日本相撲協会の理事会では、所属する伊勢ヶ濱一門が宮城野部屋を預かる上での具体的な方法を検討することも決まりました。

これを受けて伊勢ヶ濱一門では、新たな理事である元大関 魁皇の浅香山親方を中心に協議を進め、関係者によりますと、宮城野親方を伊勢ヶ濱部屋に、部屋付きの間垣親方を浅香山部屋に、力士全員を親方たちとは違う一門の別の部屋に移籍させる案などをまとめて、春場所初日の3月10日に協会に提出しました。

しかし、協会からは、親方も力士もまとめて同じ部屋に移籍させるべきだと指摘されて案が差し戻され、受け入れ先について再び協議が進められてきました。

そして、関係者によりますと、協会の理事を務めた経験も長い63歳の伊勢ヶ濱親方が師匠を務める伊勢ヶ濱部屋に全員が移籍する方針を、協会の執行部と一門の間で固めたということです。

元横綱 白鵬の宮城野親方とは

元横綱 白鵬の宮城野親方は現役時代、史上最多となる45回の優勝を果たしたほか、通算1187勝、横綱在位はおよそ14年に渡る84場所と、いずれも史上最多を記録し、現役生活およそ20年で数々の記録を打ち立てて、3年前の秋場所後に引退しました。

引退後は間垣親方として宮城野部屋の部屋付きの親方として後進の指導にあたり、おととし7月に宮城野部屋を継承し、部屋の師匠として新たなスタートを切っていました。

師匠としては、去年の名古屋場所で新入幕ながら優勝争いに加わった伯桜鵬などを育ててきました。

2月23日に弟子の北青鵬の暴力問題で処分を受けた際には、「弟子を守ることができなかった責任を受け止めております。そして日本相撲協会や大相撲ファン、応援してくれている皆さまに心配をおかけしたことを深く反省し、申し訳ない気持ちでいっぱいです」と述べていました。

過去に閉鎖の状態になった部屋も

大相撲の部屋が師匠の処分に伴って当面の間、閉鎖の状態となったことは、過去にもありました。

平成22年の名古屋場所では、木瀬部屋の木瀬親方が中心となって手配した土俵下の特別席の入場券を使って暴力団幹部らが観戦していたことが発覚し、木瀬親方が2階級降格の処分を受けるとともに、木瀬部屋は所属する出羽海一門の預かりとなりました。

そして、元横綱の北の湖親方が師匠を務めた同じ一門の北の湖部屋が、木瀬親方をはじめ、力士や行司など全員を受け入れ、部屋は閉鎖の状態となりました。

そして2年後に日本相撲協会が「木瀬親方と暴力団との関わりはなくなった」と判断したことを受けて、木瀬親方が師匠に復帰し、部屋の再開が認められました。

その後、木瀬部屋に所属する力士では、令和2年の初場所で元幕内の徳勝龍が幕内で最も下位の番付、幕尻の力士として20年ぶりに優勝したほか、宇良がことし1月の初場所で新三役となる小結に昇進しました。