参院予算委 立民反発で開会が2時間遅れ“聴取の説明不十分”

新年度予算案を審議している参議院予算委員会は、立憲民主党が、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で岸田総理大臣が行った安倍派幹部への聴取に関する自民党の説明が不十分だとして反発し開会が2時間、遅れました。与野党は質疑のあと委員会と本会議で予算案を採決する方向で調整しています。

参議院予算委員会は、28日午前9時から岸田総理大臣とすべての閣僚が出席して締めくくりの質疑を行う予定となっていました。

委員会に先立って開かれた理事懇談会で、自民党は野党側の求めに応じて岸田総理大臣が派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で安倍派の幹部4人への聴取を行ったことなどを説明しました。

これに対し立憲民主党が、聴取の内容について説明が不十分で質疑に入れないと反発したため、自民党と立憲民主党の参議院国会対策委員長が会談して対応を協議しました。

その結果、質疑を午前11時から行い、聴取に関する説明の扱いは、引き続き協議することになりました。

参議院予算委員会は、締めくくりの質疑が2時間遅れで始まり、立憲民主党の辻元代表代行は「追加で聴取した4人からの新しい聴き取りでもキックバックの再開の判断に森元総理大臣が関与していたという話はなかったということでいいか。もし、握りつぶしたら責任問題になる。はっきりと明らかにすると約束してほしい」とただしました。

これに対し岸田総理大臣は「追加の聴き取り調査についても今後、政治責任を明らかにする党の判断につなげていきたい。その過程の中で調査も正式に公にすることを考えていきたい。調査の内容は本人から本音で発言してもらうためにも公表のあり方は細心の配慮をしなければならず、今の時点で内容を申し上げることは控える」と述べました。

また「森元総理大臣も関係者の1人なので、その政治責任を明らかにするために必要な人ということで含まれうるが、いずれにしても、まだ必要な人が誰なのか調整中だ」と述べました。

与野党は質疑のあと委員会と本会議で予算案を採決する方向で調整していて、新年度予算案は与党側の賛成多数で可決・成立する見通しです。

自民 石井参院国対委員長「速やかな議決へ対応したい」

自民党の石井参議院国会対策委員長は記者団に対し「野党から宿題が出されているので、このあと返答して了承されれば予算案の採決で合意形成できるのではないか。参議院に与えられた使命は新年度予算案を速やかに議決することなのでしっかり対応したい」と述べました。

立民 長妻政調会長「霧がかかったような予算審議」

立憲民主党の長妻政務調査会長は記者会見で「能登半島地震があり、通常は補正予算案をきちんと編成するが、本予算に予備費があるからいいという理屈は理解できない。少子化対策の支援金や次期戦闘機など防衛政策の大転換について十分な説明がなかった。安倍派幹部らの証人喚問を要望しているのに、めどもなかなか立たず、霧がかかったような予算審議だった。霧を晴らしていく」と述べました。

国民 玉木代表「予算成立で政治とカネの問題 幕引きにならず」

国民民主党の玉木代表は、記者団に対し「5月以降のガソリン代が上がり、中小企業の賃上げに水を差す可能性がある予算であり、反対だ。予算が成立したからといって、政治とカネの問題が幕引きになるわけではない。事実の全体像を明らかにすることなく、適切な処分も法改正もできないので、証人喚問などで改めて全容解明を強く求めていきたい」と述べました。