高校野球 センバツ 星稜が阿南光に勝ち石川県勢 春で初ベスト4

センバツ高校野球は大会9日目、準々決勝の第1試合で、石川の星稜高校が徳島の阿南光高校に5対0で勝って、石川県勢初となるセンバツでのベスト4進出を決めました。

星稜は1点リードの2回、7番の専徒大和選手と9番の戸田慶星投手のタイムリーヒットを含む4連続ヒットなどで、3点を加えました。

さらに4回にも、今大会好調の背番号「13」、中島幹大選手が、2試合連続となるタイムリーヒットを打って1点を追加し、優位に試合を進めました。

先発した2年生の戸田投手は、力のあるストレートを主体としたピッチングで、相手打線をヒット2本に抑えて完封し、星稜が5対0で勝って、石川県勢初となるセンバツでのベスト4進出を決めました。

阿南光は、ここまで2試合続けてふた桁の三振を奪って完投しているエースの吉岡暖投手ではなく、2年生の大坂将太投手に先発を託しましたが、2回の途中までに4失点と試合をつくれませんでした。

リリーフした吉岡投手は粘り強く投げましたが、打線が最後まで相手投手を攻略できず、初めてのベスト4進出はなりませんでした。

《星稜 監督・選手談話》

山下智将監督「たくさんの人から背中を押されているのを感じる」

勝った星稜の山下智将監督は、相手打線を完封した2年生の戸田慶星投手について「3回まで投げてもらえればと考えていたが、想像以上のすばらしい投球内容だった。序盤に得点を重ね、いいリズムで試合を進めることができた」と好投をたたえました。
石川県勢初のベスト4進出については「96回の大会で初めての場所にたどり着くことができてうれしい。石川県が大変な状況の中で、たくさんの人から背中を押されているのを感じている」と話していました。

戸田慶星投手「初完封を甲子園でできてうれしい」

105球を投げ完封した星稜の戸田慶星投手は「フォアボールを出さなかったことと、変化球をうまくコントロールできたことがよかったと思います。1イニングずつ抑えようという気持ちで試合に臨みましたが、初めての完封を甲子園でできて、素直にうれしいです」と落ち着いて試合を振り返りました。
試合前にはエースの佐宗翼投手から声をかけられたということで「『試合展開を気にせず初回から飛ばしていけ』と言ってくれました。準決勝に向けてエースを温存できてよかったです」と話していました。

中島幹大選手「地震の被災者の方に勇気を」

2本のヒットを打った、星稜の中島幹大選手は「先制はしましたが、テンポが早く試合が進んだので、雰囲気に飲み込まれないようにしないといけないと意識していました。これまでの2試合の調子のよさが自信につながり、タイムリーヒットを打つことができました」と振り返りました。
石川県勢初のベスト4進出について「地震の被災者の方に勇気を与えることができたかなと思います。石川県に優勝旗を持ち帰るという強い気持ちで、次の試合に向けて準備をしたい」と意気込んでいました。

◇勢いに乗る星稜 原動力に背番号「13」

石川県勢としては春夏通じて初めての優勝に向け、勢いに乗る星稜高校。その大きな原動力に背番号「13」の存在があります。

3年生の中島幹大選手。去年の秋の公式戦、代打での出場がほとんどでしたが、今大会は初戦から絶好調。1回戦は途中出場から2打数2安打。先発メンバーに抜てきされた2回戦は、プロ注目の好投手、八戸学院光星高校の洗平比呂投手から試合を決めるタイムリーヒットを打ちました。

そして28日の試合でも先発起用され、ヒット2本、1打点と期待に応えてみせました。ここまでの3試合、9打数5安打と当たりに当たっています。

山下智将監督をはじめ、チームの誰もが認める努力家。

好きなことばは「己に勝つ」

この冬はキャプテンの芦硲晃太選手とペアを組んでティーバッティングでバットを振り込んだり、打つときに体が前に突っ込む癖を直すためバッティングフォームの改良に取り組んだりと「質と量の両方にこだわって練習してきた」といいます。

努力の成果を大舞台で存分に発揮する姿に、山下監督は「真面目で練習熱心で、試合に状態をピークにもってくる力を持っている。今回は2桁の番号だが、彼には“期待を込めた2桁だ”と言ってある。まだまだ今以上にやってくれるんじゃないかと期待している」とたたえました。

中島幹大選手は「連続してヒットが出ていることで、きょうも自信を持って打席に立つことができました。背番号が2桁の選手が活躍すればチームも勢いづくと思うので、続けていきたいです」と話していました。

そんな中島幹大選手には、優勝旗のほかに、もうひとつの目標があります。

それは「野球人口を増やす」こと。

地元で野球をする子どもが減り、出身の少年野球チームが一時、消滅の危機にあったことから「自分のプレーで野球の楽しさを伝えたい。諦めずにやれば甲子園で活躍できるし、高校野球は楽しいんだということを伝えたいと思います」と話します。

北陸の寒い冬に努力を重ね、センバツで花を咲かせた背番号「13」。

石川県勢として初めて挑む準決勝でも、活躍に期待がかかります。

《阿南光 監督・選手談話》

高橋徳監督「星稜は非常に強く 完敗」

敗れた阿南光の高橋徳監督は「星稜は非常に強く、完敗だったと思います。最後まで集中力を切らさずに頑張ってくれたので、選手たちに感謝しています」と振り返りました。
エースの吉岡暖投手がリリーフでの登板となったことについては「コンディションが悪く、アップやキャッチボールの段階で1試合は持たないだろうと判断し、途中からの登板ということにしました。状態がよくない中でも1球1球丁寧に投げてくれました」と話していました。

井坂琉星主将「3試合を通してすごく楽しめた」

阿南光のキャプテンでキャッチャーの井坂琉星選手は、吉岡暖投手の投球について「彼もベストコンディションではなかったと思いますが、悪いなりに打ち取ってくれて失点も少なかったので、よく投げてくれたし、ナイスピッチングだったなと思います」と話していました。
今大会の3試合を振り返り「センバツに出られる機会はなかなかない中で、みんなで楽しもうとチームで言っていたので、3試合を通してすごく楽しめたかなと思います」と爽やかな表情で話していました。

吉岡暖投手「自信になった部分はない 自分はまだまだ」

阿南光の吉岡暖投手は、試合途中での登板について「準備をしていたので、それほど変わることなく投げられました。相手はストレートに強く、振ってくるチームなので、変化球でかわしながら投げていきました」と話しました。
甲子園での3試合を振り返り「自信になった部分はないです。自分はまだまだなので、これからまた頑張っていきたい」と話した上で、「ストレートも変化球もキレを上げて、もう一度ここに帰って来られるように、自分自身を見直していきたい」と、さらなる成長を誓っていました。