吉本興業 タレント対象の大規模研修会で危機管理の重要性強調

芸能事務所のトップによる性加害問題をはじめ、薬物の使用やハラスメントなど不祥事やトラブルが相次ぐ芸能界。所属タレントをめぐって、SNSのトラブルや法令違反の事故などが起きている大手芸能プロダクションの吉本興業は27日に、タレントを対象にした大規模な研修会を開き、「破天荒でいいといった考え方は大きな落とし穴に落ちる可能性がある」などと危機管理の重要性を強調しました。

27日に都内の劇場で開かれた研修会には、吉本興業に所属するタレントおよそ600人が集まり、はじめに岡本昭彦社長が「時代にいかに寄り添っていくかということを、ともに学び感じる場所にしていきたい」とあいさつしました。

続いて講演した社外取締役の山田秀雄弁護士は「不祥事の当事者になれば、会社にも自分の家族にも迷惑をかけ、自身も大損失を受ける。初期の対応が非常に重要で、本当にやっているのであれば、早期かつ誠実な謝罪・賠償が本当に重要になる」と指摘し、危機管理の対象として、SNSへの不適切な投稿や、異性とのトラブルなどをあげました。

そのうえで、同意がない性行為は、犯罪になり得ることを明確にした改正刑法が施行されたことなどを知ってほしいと呼びかけました。

このあと、タレントなども加わって意見交換が行われました。

タレントから、過去の交流を含め、異性とのトラブルについての対応を問われると、山田弁護士は「芸人は破天荒でいいといった考え方で突っ走ってしまうと、大きな落とし穴に落ちる可能性がある。相手がどう感じているか、自分の経験や業界の常識は、非常識だというくらいの認識で物事に取り組む姿勢が必要だ」などと、危機管理の重要性を強調していました。

吉本興業では、2019年にタレントと反社会的勢力との関わりが問題となった際など、定期的に研修会を開いてきましたが、その後も法令違反の事案が見られるとして、今回、大規模な研修を初めて実施し、27日はオンラインでも、およそ1600人のタレントが受講したということです。

参加した小籔千豊さんは「ふだん、みんなもある程度ブレーキがかかっていると思うが、研修会で集まって言われることで、ブレーキがちょっと強まるからいいかなと思う。若い子たちは特に、ネタ作りや賞レースで結果を出すことに、たぶん頭がパンパンになっている人が多いと思うので、こういう機会にいったん立ち止まるというのは、いいことかなと思います」と話していました。