【27日】イスラエルと米 ハマス幹部に標的絞る作戦協議

ガザ地区での軍事作戦を続けるイスラエルのガラント国防相は26日、アメリカのオースティン国防長官と会談しました。
会談では、オースティン長官から南部ラファへの地上作戦に強い懸念が示され、それに代わるハマスの幹部に標的を絞った作戦などについて協議したということです。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間3月27日の動きを随時更新してお伝えします。

米国防長官 “地上作戦に懸念” イスラエル国防相に

イスラエルのガラント国防相は26日、ガザ地区で続ける軍事作戦について協議するため、支援を受けるアメリカを訪問してオースティン国防長官と会談しました。

この中でオースティン長官は「民間人の犠牲者があまりにも多く、人道支援はあまりにも少ない」と述べたうえで、150万人近くが身を寄せる南部ラファへの地上作戦について、住民の安全確保のための実行可能な計画がない中では進めるべきではないと強い懸念を示しました。

アメリカ国防総省の高官によりますと、会談ではハマスの幹部に標的を絞った作戦や、住民の退避に関する計画、それに人道支援の拡充などを協議したということです。

イスラエルはラファへの地上作戦を強行する姿勢を示していますが、国際社会からは住民の多大な犠牲を懸念する声が強まっていて、アメリカも代替案の検討をイスラエルに求めています。

こうした中でもラファを含む各地でイスラエルの攻撃は続いていて、中東の衛星テレビ局アルジャジーラなどは、27日朝にラファへの空爆で少なくとも3人が死亡したと伝えています。

ハマスは完全な停戦求め仲介国からの提案拒否か 交渉は不透明

イスラエルとハマスの間の戦闘の休止と人質の解放などをめぐる交渉は、仲介国のカタールで3月18日から続いています。

イスラエルメディアは、イスラエル側が人質の解放に伴って刑務所から釈放するパレスチナ人の人数について、ハマス側の要求に歩み寄っているなどと、交渉の進展を伝えていました。

一方でハマスは25日、完全な停戦やイスラエル軍のガザ地区からの撤退を求める従来の立場を、改めてカタールなどに伝えたと明らかにしました。

複数のイスラエルメディアは、ハマス側がイスラエルと仲介国からの提案を拒否したと伝えていて、イスラエル首相府も26日、「ハマスが再び妥協案を拒否し、極端な要求を繰り返している。イスラエルはハマスの妄想のような要求には応じない」とする声明を発表しました。

双方の立場の隔たりが依然として埋まらないなか、交渉の行方は不透明さを増しています。

ハマス最高幹部 イラン外相と会談 改めて結束の姿勢

ハマスのハニーヤ最高幹部は26日、ハマスを支援するイランのアブドラヒアン外相などと会談し、ガザ情勢について協議しました。

このなかでハニーヤ最高幹部は「われわれはイスラエルとの対立の中で、歴史的、運命的な転換点を迎えている」と述べて、改めてイランと結束し、イスラエルに対抗していく姿勢を示しました。

ガザ地区アマル病院「完全に機能停止」運営のパレスチナ赤新月社

イスラエル軍が軍事作戦を行ってきた、ガザ地区南部ハンユニスの基幹病院「アマル病院」について、運営するパレスチナ赤新月社は26日、「完全に機能を停止した」と明らかにしました。

病院が40日以上包囲され、攻撃による死傷者も出ていたほか、イスラエル軍が病院関係者とけが人に退避を強制し、病院の入り口を封鎖したことなどを、機能停止の理由にあげています。

イスラエル軍は25日、アマル病院の周辺でイスラム組織ハマス側の戦闘員20人以上を殺害したとしています。

パレスチナ赤新月社は「国際社会が病院のスタッフ、患者、病院に身を寄せていた人たちに必要な保護を提供することができず、アマル病院が機能停止に陥ったことは遺憾だ」と非難の声をあげています。

また、ガザ地区の保健当局は26日、シファ病院についてイスラエル軍が包囲を強めていると発表し、依然として厳しい状況が続いています。

WHO=世界保健機関は、3月20日時点でガザ地区にある36の病院のうち、3か所が機能しておらず、12か所が部分的に機能しているものの物資の不足など、厳しい状況が続いているとして、一刻も早い停戦を求めています。