ハマスは完全な停戦求め仲介国からの提案拒否か 交渉は不透明

イスラエルとイスラム組織ハマスの間の戦闘の休止をめぐる交渉は、双方の立場の隔たりが依然として埋まらず、ハマスは改めて完全な停戦などを求め仲介国からの提案を拒否したと伝えられるなど、交渉の行方は不透明さを増しています。

イスラエルとハマスの間の戦闘の休止と人質の解放などをめぐる交渉は、仲介国のカタールで今月18日から続いています。

イスラエルメディアはイスラエル側が人質の解放にともなって刑務所から釈放するパレスチナ人の人数についてハマス側の要求に歩み寄っているなどと交渉の進展を伝えていました。

一方でハマスは25日、完全な停戦やイスラエル軍のガザ地区からの撤退を求める従来の立場を改めてカタールなどに伝えたと明らかにしました。

複数のイスラエルメディアは、ハマス側がイスラエルと仲介国からの提案を拒否したと伝えていて、イスラエル首相府も26日に「ハマスが再び妥協案を拒否し、極端な要求を繰り返している。イスラエルはハマスの妄想のような要求には応じない」とする声明を発表しました。

双方の立場の隔たりが依然として埋まらないなか、交渉の行方は不透明さを増しています。

こうしたなかハマスのハニーヤ最高幹部は26日、ハマスを支援するイランのアブドラヒアン外相などと会談し、ガザ情勢について協議しました。

このなかでハニーヤ最高幹部は「われわれはイスラエルとの対立の中で、歴史的、運命的な転換点を迎えている」と述べて、改めてイランと結束しイスラエルに対抗していく姿勢を示しました。

「アマル病院が完全に機能停止」パレスチナ赤新月社

イスラエル軍が軍事作戦を行ってきた、ガザ地区南部ハンユニスの基幹病院「アマル病院」について、運営するパレスチナ赤新月社は26日、「完全に機能を停止した」と明らかにしました。

病院が40日以上包囲され、攻撃による死傷者も出ていたほか、イスラエル軍が病院関係者とけが人に退避を強制し、病院の入り口を封鎖したことなどを機能停止の理由にあげています。

イスラエル軍は25日、アマル病院の周辺でイスラム組織ハマス側の戦闘員20人以上を殺害したとしています。

パレスチナ赤新月社は「国際社会が病院のスタッフ、患者、病院に身を寄せていた人たちに必要な保護を提供することができず、アマル病院が機能停止におちいったことは遺憾だ」と非難の声をあげています。

WHO=世界保健機関は今月20日時点でガザ地区にある36の病院のうち23か所が機能しておらず、12か所が部分的に機能しているものの物資の不足など厳しい状況が続いているとして、一刻も早い停戦を求めています。