ミャンマー きょう大規模な軍事パレード 対立勢力の攻撃警戒か

ミャンマーでは、3年前のクーデター以降実権を握る軍が27日、大規模なパレードを行います。ことしのパレードは夕方に開催する予定で、対立する民主派勢力などからの攻撃を警戒しているとの見方も広がっています。

ミャンマーでは、太平洋戦争中に軍の起源となる組織が独立を目指して旧日本軍に対し蜂起した日を記念して、首都ネピドーで毎年大規模な軍事パレードが行われています。

パレードは、3年前のクーデター以降実権を握る軍のトップ、ミン・アウン・フライン司令官が戦闘機の編隊飛行や兵士が隊列を組んだ行進を観閲して、軍事力を誇示する場となりますが、関係者によりますと、ことしは開始時間を朝から夕方に変更して行う予定だということです。

ミャンマーでは去年の秋以降、軍が各地で民主派勢力や少数民族の武装勢力による大規模な攻勢にさらされ、多くの兵士が死亡したり、投降したりしていて、アメリカ平和研究所は軍の兵力はクーデター前と比べ、2万人程度減っていると分析しています。

こうした中、軍は先月徴兵制の実施を発表しましたが、徴兵を逃れようと隣国のタイに出国したり、民主派勢力側に加わったりする若者が相次ぎ、混乱が続いています。

パレードの開始時間の変更について、軍の報道官は「天候を考慮したためだ」と説明していますが、地元メディアでは軍が民主派勢力などからの攻撃を警戒しているとの見方も広がっています。

民主派勢力に加わる若者は

ミャンマーではことし2月の徴兵制実施の発表以降、軍に反発し、民主派勢力に加わる若者が相次いでいます。

このうち、中部マグウェ管区で活動する民主派勢力には、発表から1か月で女性を含め新たに50人が加わり、現在は150人のメンバーで活動しています。

新しいメンバーは、腹筋などの基礎トレーニングや、戦闘中に低姿勢を保ったまま移動する訓練を行うほか、銃の手入れの仕方や実弾による射撃訓練なども行っています。

その1人、20歳のブー・ギーさん(仮名)は、先月、最大都市ヤンゴンから3人の友人とともに加わりました。

今は仲間とともに共同生活を送りながら、最前線でミャンマー軍と対じする準備を進めています。

民主派勢力に加わった理由について、ブー・ギーさんは「クーデターの後、父と民主派勢力に加わろうとしたが、父が新型コロナウイルスで死んでしまった。軍が徴兵制を押し付けてきたとき、民主派勢力に加わるか、それとも軍に入るか選ぶことになった」と話しました。

また「夜に近所を歩いていいるときでも、後ろからライトをつけた車が近づいてくると、身の危険を感じた。自由に外出するのは危険だった」と述べて、軍に連行されて徴兵される恐怖を常に感じていたと話しました。

ブー・ギーさんが所属する民主派勢力のポー・ター副司令官は「民主派勢力に合流したくても、さまざまな事情で加わることができない市民がいたが、徴兵制実施の発表が彼らを戦いに向かわせた。彼らにとって軍に入るという選択肢はありえない。戦うことが唯一の選択肢であるなら、軍ではなく、民主派に加わったほうがよいと考えている。あまりに多くの若者が加わったので、受け入れ側であるわれわれの準備が整っていない」と話していました。