断食月の停戦決議 安保理採択もイスラエル ラファ地上戦辞さず

国連の安全保障理事会では、ガザ地区の情勢をめぐってイスラム教の断食月ラマダンの期間中の停戦を求める決議が、アメリカを除く各国の賛成で採択されました。これに対してイスラエルのガラント国防相は、ガザ地区南部のラファへの地上作戦も辞さない構えを改めて示し、かたくなな姿勢を崩していません。

イスラエル軍は25日、ガザ地区北部のシファ病院と南部のアマル病院で軍事作戦を行い、アマル病院では20人以上の戦闘員を殺害したとしています。

一方ガザ地区の保健当局は、過去24時間に107人が死亡し、死者は3万2333人にのぼっていると発表しました。

こうした中、国連の安保理では25日、ガザ地区をめぐり、イスラム教の断食月、ラマダンの期間中の停戦を求める決議案の採決が行われ、アメリカは棄権したものの、ほかの14か国の賛成多数で採択されました。

これに対してイスラエル首相府は声明を発表し決議に強く反発したうえで、「人質の解放を前提とせずに停戦を求める決議案にアメリカが拒否権を行使しなかったことは遺憾だ」として、今週予定されていたアメリカへの代表団の派遣を取りやめると発表しました。

また、決議に先立ちワシントンを訪れていたイスラエルのガラント国防相も声明を発表し、「ハマスの壊滅と人質の帰還が重要だ。まだ着手していない場所も含めあらゆる場所でハマスに対し行動する」と述べ、150万人近くが身を寄せているガザ地区南部のラファへの地上作戦を辞さない構えを改めて示しました。

イスラエルはこれまで後ろ盾としてきたアメリカにも反発し、かたくなな姿勢を強めていて、先行きの見通しは一段と不透明になっています。

米国務長官ら イスラエル国防相と会談

アメリカのブリンケン国務長官やホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は25日、首都ワシントンを訪れているイスラエルのガラント国防相と会談しました。

会談の中でブリンケン長官は、ガザ地区南部ラファへの地上作戦を支持しない考えを重ねて示し、これに代わる計画について意見を交わしたということです。

また、会談後、サリバン補佐官はSNSに投稿し、イスラム組織ハマスを打倒するための最善策について建設的な議論をしたとしたうえで「イスラエルの安全保障と防衛に対するバイデン大統領の揺るぎない支持を伝えた」として、イスラエルを支持する姿勢を改めて示しました。