【26日】国連安保理 断食月の停戦決議採択も 実現は不透明

ガザ地区の情勢をめぐり、国連の安全保障理事会で、イスラム教の断食月ラマダンの期間中の停戦を求める決議が採択される一方、イスラエルのガラント国防相は、ガザ地区南部のラファへの地上作戦も辞さない構えを改めて示しました。
イスラム組織ハマスはイスラエル軍のガザ地区からの撤退を求めていて、戦闘休止の実現は不透明さを増しています。

ハマス イスラエル軍の撤退伴う停戦求める

ハマスは25日、SNSで声明を発表し、イスラエル軍のガザ地区からの撤退を伴う停戦などを求めました。

また、イランメディアは、ハマスのハニーヤ最高幹部が26日、支援を受けるイランを訪れ、政府高官と会談してガザ情勢について意見を交わすと伝えました。

国連安保理で停戦を求める決議が採択された一方で、イスラエルとハマスの隔たりは依然、大きく、戦闘の休止が実現するかは不透明さを増しています。

米国務長官ら イスラエル国防相と地上戦に代わる計画 意見交換

アメリカのブリンケン国務長官や、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は25日、首都ワシントンを訪れているイスラエルのガラント国防相と会談しました。

会談の中でブリンケン長官はガザ地区南部ラファへの地上作戦を支持しない考えを重ねて示し、これに代わる計画について意見を交わしたということです。

また、会談後、サリバン補佐官はSNSに投稿し、イスラム組織ハマスを打倒するための最善策について建設的な議論をしたとした上で、「イスラエルの安全保障と防衛に対するバイデン大統領の揺るぎない支持を伝えた」として、イスラエルを支持する姿勢を改めて示しました。

即時停戦決議案 14か国賛成 アメリカは“棄権” で採択

決議案は、ガザ地区の壊滅的な人道状況に深い懸念を示した上で、イスラム教の断食月、ラマダンの期間中の即時停戦と、すべての人質の無条件の即時解放、それにガザ地区で必要とされる人道支援の確保を求めています。

決議案は、日本を含む非常任理事国10か国が共同で提案し、25日、国連安保理の緊急会合で行われた採決の結果、15か国のうちアメリカは棄権しましたが、残る14か国が賛成して採択されました。

去年10月のイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突以降、ガザ情勢をめぐって、安保理で「停戦」という文言が含まれた決議が採択されたのは初めてで、採択が決まると議場から拍手がわきおこりました。

3月、議長を務める日本の山崎国連大使は決議の採択を歓迎し、「停戦がこの地域の持続可能な平和と安定への道を開くと信じている」と述べました。

一方、棄権した理由について、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は、決議はハマスを非難していないとした上で「即時停戦は人質の解放をもって開始できる。したがって、われわれはハマスに圧力をかけなければならない」と述べ、アメリカも仲介にあたっている外交によって事態の打開を目指す姿勢を強調しました。

イスラエル政府 改めて強硬な姿勢示す

国連安保理でラマダンの期間中の即時停戦を求める決議案が採択されたことに対し、イスラエルのエルダン国連大使は「ハマスが外交ルートで人質の解放を拒否するかぎり、軍事作戦以外に人質を取り戻す方法はない」と述べて、安保理の対応に強く反発しました。

また、イスラエル首相府も声明を発表し「人質の解放を条件としない停戦を求める決議案に、アメリカが拒否権を行使しなかったことは遺憾だ」と反発し、アメリカの首都ワシントンを訪問する予定だった一部の閣僚について派遣を取りやめると発表しました。

アメリカでは、ネタニヤフ首相が計画を承認したガザ地区南部のラファでの地上作戦について協議される予定でした。アメリカ政府は150万人近くが身を寄せるラファでの作戦の実施に懸念を示していて、これに代わる計画を提示する考えを示していました。

また、決議に先立ち、ワシントンを訪れていたイスラエルのガラント国防相も声明を発表し、「ハマスの壊滅と人質の帰還が重要だ。まだ着手していない場所も含め、あらゆる場所でハマスに対し行動する」と述べ、150万人近くが身を寄せているガザ地区南部のラファへの地上作戦を辞さない構えを改めて示しました。

イスラエルはこれまで後ろ盾としてきたアメリカにも反発し、かたくなな姿勢を強めていて、先行きの見通しは一段と不透明になっています。

アメリカ大統領補佐官「当惑している」

アメリカ・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は25日、記者会見でアメリカが国連安保理でラマダンの期間中の即時停戦を求める決議案の採決で拒否権を行使せず、棄権したことについて「決議案は人質の解放と一時的な停戦を結びつけた点において、われわれが一貫して求めてきたものだ」と説明しました。

その上で、イスラエルが一部の閣僚など高官の派遣を取りやめると発表したことについて「当惑している」と述べました。

ただ、イスラエルとは協議を続けていくとしています。

ガザ地区保健当局「107人が死亡し、死者は3万2333人に」

イスラエル軍は25日、過去24時間でガザ地区北部のシファ病院と南部のアマル病院で軍事作戦にあたったと発表しました。

一方、ガザ地区の保健当局は過去24時間で107人が死亡し、死者は3万2333人にのぼっていると発表しています。