【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(3月26日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる26日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

無人機・ロケット攻撃の応酬続く

ウクライナ空軍は26日、ロシア軍が無人機12機などで攻撃を仕掛け、これを撃墜したと発表し、一方、ロシア国防省もウクライナと国境を接するロシア西部のベルゴロド州でロケット弾が撃ち込まれる越境攻撃があったとしていて、双方の戦闘が続いています。

ロシア ショイグ国防相 “年内に大規模部隊の編成を計画”

ロシアのショイグ国防相は、3月20日に国防省で行った会議で、「ことし中に14の師団と16の旅団のあわせて30の兵団による大規模な部隊を編成する計画がある」と明らかにしました。

その上で、「新たな脅威に対してロシア軍の戦力と兵力を改善し続ける」と強調しています。

プーチン大統領は2月、ロシア軍の管轄について首都モスクワを含む「モスクワ軍管区」と、第2の都市サンクトペテルブルクを含む「レニングラード軍管区」を新設する大統領令に署名するなど、NATO=北大西洋条約機構に対抗し、ロシア北西の防衛を強化する動きもみせています。

ショイグ国防相が言及した新たな部隊について、イギリス国防省は25日、「ロシアが契約軍人などを集める取り組みは成功していて、十分な兵力を配備できる可能性は高い。しかし、訓練を実施する能力は限られ、旧式の装備品が広まる中、これまでと同様人的資源などの問題に苦慮する可能性が高い」と指摘しています。

ゼレンスキー大統領 “プーチンは病的” テロの関与改めて否定

モスクワ郊外のコンサートホールで22日起きたテロ事件では、これまでに139人が死亡、182人がけがをしていて、実行犯とされる4人がテロに関与した罪で起訴されました。

この事件について、プーチン大統領はイスラム過激派による犯行だったとの見方を示す一方、背後にウクライナ側の関与が疑われると主張しました。

これに対して、ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、テロへの関与を改めて否定したうえで、「プーチンは、またしてもウクライナを非難した。病的で懐疑心のかたまりだ。彼にとっては自分以外の誰もがテロリストなのだ」と述べ、強く反発しました。

ウクライナ側 “弾道ミサイル2発撃墜 破片で10人けが”

ウクライナの首都キーウにロシア軍がミサイル2発で攻撃し、現地の当局は撃墜して落下したミサイルの破片でこれまでに10人がけがをしたとしています。

一方、地元メディアは、ロシア軍が極超音速だとする新型のミサイルを使ったとも伝えていて、ウクライナでは警戒が強まっています。

ウクライナ空軍は25日、ロシア軍が、一方的に併合したウクライナ南部のクリミアから弾道ミサイル2発で首都キーウに攻撃を仕掛け、いずれも撃墜したと発表しました。

ウクライナの非常事態庁などによりますとミサイルの破片が市内に落下し、これまでに16歳の女性を含む10人がけがをしたとしています。

目撃者 “爆発音のあとに防空警報 わずか5秒から10秒ほどの間”

このうち中心部のペチェルシク地区の現場では、3階建ての教育施設の建物に破片が落下し、大きく壊れました。

近くにある喫茶店に設置された防犯カメラには被害があった瞬間が捉えられていて、映像には、店内で強い光がきらめき、客や店員が身をすくめる様子や、飛んできた窓ガラスがカウンターの上にあったガラスの入れ物などを倒す様子が写っています。

店員の女性は「はじめに爆発音がして、そのあと防空警報の音がしました。わずか5秒から10秒ほどのことでした。とても怖かったです」と話していました。

キーウでは、防空警報が出てから避難できる時間のあるケースがほとんどですが、今回の攻撃では市民から避難する猶予はなかったという声が上がっています。

一方、地元メディアはロシア軍が極超音速ミサイルだとする、海上発射型の新型のミサイル「ツィルコン」を使ったと伝えていて、警戒が強まっています。

25日夕方には南部オデーサ州にもロシア軍によるミサイル攻撃があり、地元の知事によりますと3人がけがをしたほか、30万以上の世帯が停電になっているとしていて、ロシア軍の攻撃による影響が広がっています。

プーチン大統領 テロ事件にウクライナ関与の疑いと主張

ロシアの首都モスクワ郊外のコンサートホールで起きたテロ事件について、ロシアのプーチン大統領は25日、イスラム過激派が実行したとする一方で、その背景にウクライナ側の関与が疑われると主張しました。

今回の事件について、過激派組織IS=イスラミックステートとつながりのある「アマーク通信」は、ISの戦闘員による犯行だと伝えていて、プーチン大統領は初めてイスラム過激派による犯行だったと明言しました。

一方、プーチン大統領は「われわれは誰が指示したかに関心がある」としたうえで「これによって誰が利益を得るのか。この残虐行為はロシアと戦ってきたウクライナ側の手による一連の企てと関連しているのかもしれない」と主張しました。

さらに、ウクライナとの国境地帯でロシア側への攻撃が相次いでいることをあげ「モスクワで起きたテロ攻撃のような脅迫行為は、この流れと論理的に合致する」などと述べ、今回のテロにウクライナ側の関与が疑われると主張しました。

ウクライナ側は、これまでテロへの関与を全面的に否定していて、アメリカやフランスなども、ISによるものでウクライナの関与はないという見方を示しています。

プーチン大統領は、ウクライナ側が関与したとする主張を一段と強めたかたちで、これを口実にウクライナヘの攻撃を強めたり国内の引き締めを図ったりする狙いがあるのではないかとみられています。