不正輸出えん罪事件 捜査員が故意に調書破棄の疑い 告発状提出

横浜市の化学機械メーカーの社長ら3人が不正輸出の疑いで逮捕され、その後、無実が明らかになったえん罪事件をめぐり、メーカー側は、警視庁公安部の捜査員が逮捕後に作成した取り調べの調書を故意に破棄した疑いがあるなどとして、25日、警視庁に告発状を提出しました。

横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の社長ら3人が不正輸出の疑いで逮捕、起訴されたえん罪事件をめぐり、3人のうちの1人で元取締役の島田順司さんは25日、弁護士とともに警視庁に告発状を提出し、受理されたということです。

メーカー側が国と都を訴えた民事裁判では、島田さんが逮捕後の取り調べで「弁解録取書」という調書の修正を依頼したところ、警視庁公安部の捜査員が修正したふりをして署名させたと1審の東京地方裁判所が認定し、違法だと指摘しました。

この調書はその後破棄され、捜査員が「誤って裁断した」とする報告書を作成しました。

島田さんたちは告発状で、捜査員らは故意に調書を破棄した公用文書毀棄の疑いや、虚偽の公文書を作成した疑いがあるとしています。

告発状を提出したあと、島田さんは「組織内部で事件の検証をしてほしいという思いで告発した。自分たちが持つ公権力の大きさをしっかり認識してほしい」と話していました。

民事裁判で東京地方裁判所は検察と警視庁の捜査の違法性を認め、国と都に合わせて1億6200万円余りの賠償を命じましたが、双方が控訴していて、都は「捜査員は元取締役をだましておらず、報告書の内容は当時の事実をありのままに記載したものだ」などと捜査の違法性を否定しています。