高校野球 センバツ 星稜が八戸学院光星に競り勝つ 準々決勝へ

センバツ高校野球は、大会6日目の第2試合から2回戦に入り、石川の星稜高校が青森の八戸学院光星高校に3対2で勝って準々決勝に進みました。

星稜は1回、キャプテンの3番、芦硲晃太選手のタイムリーヒットなどで2点を先制しました。

3回には同点に追いつかれましたが、6回に8番の中島幹大選手が2アウト二塁のチャンスでレフト前にしぶとく落ちるタイムリーヒットを打ち、1点の勝ち越しに成功しました。

先発した左腕のエース、佐宗翼投手は、伸びのあるストレートと変化球を効果的に使ったピッチングで4回以降は得点を許さず、星稜が3対2で勝って準々決勝に進みました。

八戸学院光星はエースの洗平比呂投手が140キロ台のストレートを中心に粘り強く投げ、打線もたびたびチャンスを作りましたが及びませんでした。

《星稜 監督・選手談話》

山下智将監督 「守り抜く野球できた」

勝った星稜高校の山下智将監督は「序盤に得点できたのは予想外だった。もともと自分たちは守備が持ち味なので、二遊間を中心に守り抜く野球ができた」と試合を振り返りました。
先発の佐宗投手については「回を追うごとに変化球の精度が上がっていった。守備に助けられながら、いいピッチングをしてくれた」と話していました。
また、前の試合で日本航空石川が負けたことに触れ「石川の高校として、2校とも勝ち進みたかったが、日本航空石川の分もいい姿を見せられるような試合をしたい」と話していました。

完投の佐宗翼投手「試合延期で2日間調整できた」

141球を投げて完投した星稜高校の佐宗翼投手は「試合が延期になったことで2日間調整することができ、結果的にいいピッチングができたと思います」と話していました。
チームが6回に1点を勝ち越したことについて「仲間がつないで取った1点だったので、絶対に守りきるという強い気持ちで最後まで投げました」と振り返りました。
そして「コントロールミスもあったし、球数も多くなってしまったので、準々決勝では打たせてとる自分のピッチングをします」と、次の試合に向けて気を引き締め直していました。

勝ち越しタイムリー中島幹大選手「ショートの頭上こえる打球を」

6回に勝ち越しのタイムリーヒットを打った中島幹大選手は「ショートの頭上をこえる打球を打とうという意識で打席に入りました。完璧に捉えた打球ではありませんでしたが、結果的に得点につながってよかったです。中盤のよくない流れを変えることができたかなと思います」と振り返りました。
そして「次の試合でも守りから試合のリズムをつかむ、自分たちの野球をしたい」と話していました。

◆星稜 “石川県 負けないぞ” 繰り返し声かけあう

星稜高校のベンチの中では試合中、選手たちが互いに「石川県 負けないぞ」などと繰り返し声をかけあっていたといいます。

星稜の山下智将監督はこれまで、選手たちに試合に集中してもらうため、能登半島地震の被災地のことを話題に出さないようにしてきました。

しかし、24日までの2日間、被災した石川県の高校球児たちが甲子園球場まで応援に来てくれたのを見てうれしく思い、報道陣の取材に対して「石川県頑張るぞ」と思わず話したということです。

そのことが選手たちにも伝わり、25日の試合中、選手たちは「石川県負けないぞ」などと被災地への思いをことばにしていたといいます。

6回に勝ち越しのタイムリーヒットを打った中島幹大選手は「優勝旗を石川に持って帰ろうとチームメートと話していました」と振り返りました。

141球を投げて完投した佐宗翼投手も「『石川県は負けない』という気持ちで投げていました」と話していました。

山下監督は「選手たちも被災地への気持ちをしっかり持っていてくれたのだと思った。星稜が勝ち上がることで石川県の元気が出るよう頑張りたい」と話していました。

被災地への思いをことばにすることで、より結束が強くなった星稜。目指すは石川県勢初となるセンバツ優勝です。

《八戸学院光星 監督・選手談話》

仲井宗基監督「試合の入り方がすべて 投打とも相手が上だった」

敗れた八戸学院光星高校の仲井宗基監督は「試合の入り方がすべてで、投打どちらも相手が上だった。特に相手投手を崩せず、技術の面で課題が多くあったと感じた」と試合を振り返りました。
先発の洗平比呂投手については「粘り強く投げてくれたが、エンジンがかかるのが遅く、相手に主導権を握られてしまった。練習を続け、もう一度鍛え直していきたい」と話していました。

洗平比呂投手「調子は悪くなかったが 初回の失点が敗因に」

八戸学院光星高校の洗平比呂投手は「調子は悪くありませんでしたが、大事な場面で球が高く浮いて打たれてしまいました。監督から試合の入り方を注意するようにと言われていましたが、初回に失点したことが敗因につながったと思います」と振り返りました。
そのうえで「アルプス席には多くの方が応援に駆けつけてくれたので、申し訳ない気持ちでいっぱいです。これからも練習を続けて、課題を一から見直していきたいです」と話していました。

◇八戸学院光星 “元プロ野球投手の父の思いと敗戦の悔しさ”

敗れた八戸学院光星高校のエース、洗平比呂投手は最速147キロの左腕として今大会注目投手の1人でした。

そんな洗平投手をアルプス席で見守っていたのがプロ野球、中日ドラゴンズの投手だった父親の竜也さんです。かつて竜也さんは当時の光星学院、現在の八戸学院光星でエースとして活躍しましたが、3年間、甲子園でのプレーはかないませんでした。

その思いを息子に託し、好きだった野球漫画の主人公と同じ「比呂」という名前をつけたといいます。

父親の願いを背負いエースに成長した洗平投手でしたが、1つの課題がありました。試合の序盤に点を奪われることがしばしばあり「立ち上がりが課題」と指摘されていたのです。

竜也さんは、プロの投手としての経験から「立ち上がりはどの投手も難しい。自信のあるボールでストライクを取っていけ」とアドバイスしていたといいます。

しかし25日の試合も苦しんだのは1回でした。相手の先頭バッターにフォアボールを出してしまい、それをきっかけに2点を奪われ、相手に主導権を握られました。

2回以降は調子を上げ、粘り強いピッチングを見せたもののチームを勝利に導くことはできず、悔しい結果となりました。

洗平投手は「アルプス席には父をはじめ多くの人が応援に駆けつけてくれたので勝ちたかったですが、この悔しさを持ち続け初回の立ち上がりという課題を克服して再び甲子園に戻ってきたいです」と話していました。

父親の思いと、敗戦の悔しさを胸にさらなる成長を誓った洗平投手。

「野球漫画の主人公」のように課題を克服し、夏の大会でチームを全国優勝に導く姿を父親に見せることができるでしょうか。