【会見QA】二階元幹事長 “次の衆院選立候補せず”首相に伝達

自民党の二階元幹事長は、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題でみずからの政治責任を明確にするため、次の衆議院選挙に立候補しない考えを明らかにしました。

自民党の二階元幹事長は25日午前、党本部で記者会見を開きました。

冒頭、二階氏は派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について「政治不信を招く要因となったことに対し改めて国民と地元の皆さまに深くおわび申し上げる。派閥の会計責任者と私の秘書が刑事処分を受けているが、政治責任は当然、すべて監督責任者の私自身にある」と述べました。

その上で、みずからの政治的な責任を明確にするため、次の衆議院選挙に立候補しない考えを明らかにしました。

岸田総理大臣には25日朝、電話で意向を伝えたとしています。

そして、自身が政界を引退するかどうかや後継者選びについては、地元の県連などに委ねる考えを示しました。

一方、残りの任期については「有権者から負託された議席があり、国土強じん化や大阪・関西万博の準備などに力を尽くす考えだ」と述べました。

また、党執行部が関係議員の処分を検討していることが今回の判断に影響したのかを問われ、「影響はない。みずからが決めたことだ」と説明しました。

さらに離党の考えがあるかを問われ、二階氏の側近で会見に同席した林・元経済産業大臣が代わりに「ない」と答えました。

このほか政治倫理審査会に出席しないのかを問われ、林氏は「二階氏はお金の使いみちを明らかにしており、審査会に出なくても分かってもらえると判断している。代わりに事務総長の武田・元総務大臣が出席して話したとおりだ」と述べました。

岸田首相「党の再起を強く促すための出処進退と受け止め」

岸田総理大臣は、記者団に対し「けさ二階元幹事長から『みずからの政治責任を明らかにすべく、次期総選挙に不出馬という会見を開く』との 連絡を受けた。自民党の再起を強く促すための出処進退であると、重く受け止めたところだ」と述べました。

岸田総理大臣は党の役員会で、二階元幹事長が今回の問題でみずからの政治責任を明確にするとして、次の衆議院選挙に立候補しない考えを明らかにしたことについて「党の再起を強く促す出処進退として重く受け止める」と述べました。

その上で、みずからが先頭に立ち、スピード感を持って党改革を進めていくと強調し、茂木幹事長、森山総務会長とともに関係議員に対して聴取を行い処分を検討していく考えを示しました。

さらに党の幹部が全国を回って各地で声を聴く「政治刷新 車座対話」について、来月の早い時期にみずからも実施することを検討していると説明しました。

林官房長官「ご自身の判断によるもの」

林官房長官は午前の記者会見で「今回の表明についてはご自身の判断によるものと受け止めており、政府としてコメントすることは控えたい」と述べました。

自民 茂木幹事長「判断を重く受け止めなければならない」

自民党の茂木幹事長は記者会見で二階・元幹事長を処分の対象とするか問われたのに対し「二階氏は『監督責任は自分にある』ということを明確にし、みずから出処進退を明らかにした。政治経験も大変豊かな方であり、判断を重く受け止めなければならない。現段階で言えるのはそこまでだ」と述べました。

また今回の問題での関係議員の処分のあり方をめぐり「二階派や安倍派、岸田派では、収支報告書で不記載となっている団体や議員の数、組織性などが異なっている。個別の対応が必要だと思っている」と述べました。

小池都知事「二階先生らしいご決断」

自民党の二階元幹事長と、新進党、自由党、保守党、そして自民党を通じて旧知の間柄の東京都の小池知事は「とても長いおつきあいでございました。いろいろと支援していただきました。けさ、次、ご出馬なさらないと聞きまして驚くとともに、二階先生らしいご決断だなと思いました。これからもいろいろと教えていただくことも多いかと思いますし、また、地元にかける思いなど多くも学ばせていただいておりますことを、私もこの東京で生かしていきたいと思います」と話していました。

自民 石井参院国対委員長「党のペナルティーはまた別次元の話」

自民党の石井・参議院国会対策委員長は国会内で記者団に対し「政治経験が長く、潔い判断ではないかと思うが、自民党のペナルティーはまた別次元の話ではないか」と述べました。

立民 泉代表「岸田首相も政治決断を」

立憲民主党の泉代表は記者団に対し「政治責任を感じているのであれば、身をひくのが本来あるべき責任の取り方だが、次の任期まで務めるのは、世論とずれがないのか問われる。二階氏は政治倫理審査会で説明しておらず、説明責任を全く果たしていない。二階氏が、秘書の略式起訴を受けて次の衆議院選挙に立候補しないのであれば、岸田総理大臣も岸田派の元会計責任者が略式起訴されているので、同じような政治決断をしてもらわなければならない」と述べました。

また、安倍派の幹部らの処分について「証人喚問で白黒しっかりつけてこそ、処分ができる。早く決着をつけるためにもしっかり証人喚問に応じてほしい」と述べました。

共産 小池書記局長「責任取ったということにはならない」

共産党の小池書記局長は記者会見で「巨額の裏金づくりを派閥の長としてやってきて、議員辞職に値するくらいだ。これで何か責任を取ったということにはならず、辞める前にきちんと洗いざらい話をしてもらわなければいけない。自民党の幹事長や総務会長を務めた方なので、最後はきちんと政治家として筋を通す対応をしてもらいたい」と述べました。

《二階元幹事長 記者会見での主な発言》

「派閥の政治資金問題 みずからの政治的責任を明らかに」

皆さん、ご苦労さんでございます。

このたび、私が会長を務めておりました派閥の政治資金問題の政治不信を招く要因となったことに対し、改めて国民の皆さん、これまでご支援くださった地元の皆様に深くおわびを申し上げます。

すでに派閥の元会計責任者と私の秘書が刑事処分を受けていますが、その政治責任はすべて私の、監督責任者である私自身の責任にあることは当然のことであります。

私はこの際、みずからの政治的責任を明らかにするべく、本日、岸田文雄自由民主党総裁に対し、次期衆議院選挙に出馬しないことを伝えました。

「後継候補は地元の皆さんのご判断」

また後継候補については地元の皆さんのご判断にお任せしております。

先ほど県連会長にもこの旨、お伝えしたところであります。

残りの任期については、有権者から負託をされた議席があります。

国土強じん化、問題、あるいは大阪・関西万博準備、観光立国の推進、その他外交問題、諸案件に対しまして力を尽くす考えであります。

「政治の原点はふるさとにあり」

私は県議であった時に地元の青年団の皆さんがこれから新潟に行くと、真剣な顔でたずねてこられました。

「何しに行くんですか」と。

「地元の道路の要望を何十年も地元国会議員に頼んだが動かない。私たちの痛みを分かってくれるのは田中角栄先生しかいない」、そうおっしゃいました。

私は悔しい思いでした。

もうふるさとのみんなにこんな思いをさせてはいけない。

私がみずから国政に挑戦することを誓った日であります。

以来、県議、国会議員、ずっと長くにわたって、いかなる時にも私のふるさとの同志の皆さんに支えられ、歩みを続けてまいりました。

初めて国政に立候補した、決意した頃ですね、私と初めて会った人が、朝ご飯を、ごちそう、食べさせてくれました。

私は大変感激をいたした次第であります。

政治の原点はふるさとにありということを常に申しておりますが、私はその考えをもとに、政治の道を歩んでまいりました。

私のような者がここまでこれたのは選挙で選んでくれた有権者の皆さんの熱い思いがあったからでありまして、改めて心から深く感謝を申し上げたいと思います。

政治は1人の力ではできない。

尊敬する田中角栄先生が語られた最も深い印象的なことばであります。

ぜひ自由民主党が再び国民の期待に応える政党として再起することを願います。

ありがとうございました。よろしくお願いします。

記者との一問一答

Q.次の衆議院選挙のタイミングで政界を引退するということか。

A.まあ、それは地元の皆さんがお決めになることですからね。

Q.今回の問題をめぐって、自民党の執行部が処分を検討しているが、その動きが衆議院選挙に立候補しないという判断に影響したか。

A.影響はありません。みずからが決めたことです。

Q.立候補しないと意向を伝えた時の岸田総理大臣の反応は。

A.総理に聞いてください。

Q.岸田総理大臣への連絡はどのような形でしたのか。

A.電話です。

Q.和歌山3区の後継候補については現状の考えは。

A.それは和歌山3区の皆さんが決めることです。

Q.このタイミングで決めたのは政治資金パーティーの問題、不記載の責任をとってということか、それとも二階元幹事長の年齢の問題か。

A.年齢の制限があるか?お前もその年くるんだよ。

Q.志帥会(二階派)を解散した際の記者会見で、政策を磨く場としての集まりということは否定しなかったが今後そういう場はどうしていくのか。

A.それはみんなが集まってというか、そういう人が集まればおのずからそういう人たちが考えることです。

当選13回 二階氏のこれまで

二階氏は衆議院和歌山3区選出の当選13回で85歳。和歌山県議会議員などを経て昭和58年の衆議院選挙で初当選しました。

平成5年に自民党を離党し、新進党や自由党などを経て、平成15年に復党し、経済産業大臣や党の総務会長などを歴任し、平成28年からは歴代最長の5年余りにわたって党の幹事長を務めました。

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題では、二階氏の秘書が政治資金規正法違反の罪で略式起訴され、先月、有罪が確定しました。

今回の問題を受けて、党が行ったアンケートには政治資金収支報告書に記載していなかった派閥のパーティー券収入がおととしまでの5年間で3526万円あったと報告しています。また会長を務めていた二階派はことし1月に解散を決めています。