新入幕優勝 尊富士のことば -記憶に残さないと記録にならない-

大相撲春場所で初優勝を決めた尊富士。新入幕の力士が優勝するのは110年ぶりの快挙です。取組後のことばから、優勝までの道のりを振り返ります。

【取組初日】
新入幕で白星スタート 初めての幕内の土俵について尋ねられて「初日なので硬くなることもあった。とにかく一番に集中して土俵にあがるだけだ」

【2日目】
ベテラン遠藤に勝利 理想の形をつくれたかと問われて「全然できていない。相手は強いのでいくら考えてもしかたがない。やるべきことを考えてやった」

【3日目】
同級生の狼雅に勝って3連勝を決めたあとに「意外と落ち着いている。自分は何も変わらない。やることも自分的には何も変わらない。あすの一番に向けて集中するだけだ」

【4日目】
ベテランの妙義龍を圧倒し、勢いがあると報道陣に言われて「幕内は簡単な土俵ではない。あまり納得のいく相撲は取れていない。しっかりやっていきたい」

【5日目】
初日から5連勝としたことについて聞かれて「番付のどの位置にいても関係ない。うれしい感情はない」

【6日目】
日大の先輩、美ノ海に勝って6連勝 今場所一番の相撲ではないかという質問に対して「納得の相撲かなとは思う。土俵上では先輩とかあこがれとかはあまり。向かっていく気持ちが大事だ。内容は日に日によくなっているのではないか」

【7日目】
横綱が休場する中、7連勝 集中力の高まりを感じるかという質問に対して「実感はない。集中力より体がついていってる感じだ。常に初日の気持ちで、いつ何があるか分からないし、けがなんてあしたくるかも分からない。一日一番、その日のために自分のコンディションを調整して、15日間土俵に上がりたい思いでいっぱいだ」

【8日目】
8連勝でただ1人中日勝ち越しを決め、ここまでの活躍を想像していたか問われて「まったくしていなかった。部屋では幕内力士としか稽古をしていないがどこまで幕内の土俵でやれるか不安もあった」

【9日目】
初の三役戦で小結・阿炎を一方的に寄り切って「毎日同じことを繰り返して、集中できていると思う。みんな強いけど、15日間精いっぱい取りきるだけだ。不安もあるが自信につなげていこうと思ってやっている」

【10日目】
星の差1つで追われていた大の里に勝って10連勝 学生時代、2年連続「アマチュア横綱」に輝いた大の里について聞かれて「大の里ははるか上の記録を持っている。大舞台で『対戦してやる』と一生懸命稽古してきた。早い段階で実現してよかった。僕は番付的に下から入ったので部屋で積み重ねてきたことが結果になってうれしい」

【11日目】
大関・琴ノ若に勝って、初日から11連勝を決めたあと「流れが良かったと思う。うれしい。相手は大関だしイメージ通りにならないと思ったのでとにかく自分を信じていた」

新入幕としては昭和の大横綱・大鵬の記録に並んだ思いを聞かれると「記録は気にしていなかったが偉大なすごい方に並んだことはうれしく思う。記憶に残さないと記録にならないと思うし、皆さんの記憶に残せるような相撲を取れればと思っている」

【12日目】
大関・豊昇龍に敗れて初黒星を喫したあと「変わらないように自分の相撲を取るだけだ」

【13日目】
前日の黒星を引きずらず、関脇・若元春に勝って12勝目 前日の悔しさを切り替えたのかという質問に対して「そんなに急に忘れるものでもないし、かといって次の日の相撲に関わってきてもよくないと思ったので、とにかく何も考えないで、自分を信じてできることだけをやろうと。できなかったらしょうがないし勝ち負けのスポーツなので、やるしかないと思ってやっている」