EU ロシア産の一部農産物に高い関税課す方針

EU=ヨーロッパ連合によるウクライナ支援によって、比較的安価なウクライナ産の農産物がEU域内に流入していることに地元農家が不満を強めるなか、EUはロシアからの一部の農産物の輸入に高い関税を課す方針を明らかにし域内の農家とウクライナ、双方に配慮する姿勢を示しました。

EUは、ロシアによる軍事侵攻が始まったおととしから、ウクライナへの支援の一環として輸入品への関税を停止していますが、その結果、比較的安価なウクライナ産の農産物が流入しているとして域内の農家が不満を強め、各地で抗議行動を行っています。

こうした中、EUは22日、ロシアが今後、農産物の輸出を大幅に増やす可能性があるとしてロシア産の農産物の一部に高い関税を課す方針を明らかにしました。

EUはロシア産の農産物を制裁の対象にしていませんが、今回の措置で、輸入は制限され、域内市場向けについては事実上、制裁に似た効果を持つとしています。

一方で、食料安全保障のため、世界のほかの地域に向けて輸出されるロシア産の農産物については、これまでどおり域内の通過を認めるとしています。

EUは今回の措置によって、域内の農家を守るとともに、ロシアが不法に占領したウクライナの地域からの農産物の輸入も防ぐとしており、域内の農家とウクライナ、双方に配慮する姿勢を示した形です。

ロシア大統領府報道官「ヨーロッパの消費者が間違いなく苦しむ」

これについてロシア大統領府のペスコフ報道官は22日、記者団に対し「これは、不当な競争の明白な例だ」と批判しました。

そのうえで「ヨーロッパの消費者が間違いなく苦しむだろう」と述べ、ロシアからの農産物の輸入に高い関税をかけたらEU域内の人々にとっても不利益になるとけん制しています。