【詳細】アメリカ国務長官 イスラエル首相と協議へ

中東を訪れているアメリカのブリンケン国務長官は22日、イスラエルを訪問し、戦闘休止に向けた交渉やラファへの地上作戦についてネタニヤフ首相と協議するとみられます。交渉をめぐってはイスラエル側の交渉団が再度、仲介国のカタールに向かう予定で交渉が進展するかが焦点です。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間3月22日の動きを随時更新してお伝えします。

米国務長官 ネタニヤフ首相・閣僚らと協議へ

中東を訪問しているアメリカのブリンケン国務長官は22日、イスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相や戦時内閣の閣僚らと会談する予定です。

会談では、アメリカが懸念を示しているガザ地区南部ラファへの大規模な地上作戦に代わる計画についても協議するものとみられます。

避難者など150万人近くが暮らすラファへの地上作戦については、22日にはオーストラリアとイギリスが「民間人にとって壊滅的な結果をもたらす」などとする共同声明を発表するなど、国際的な懸念が日に日に強まっています。

また、イスラエルとイスラム組織ハマスの間で続く戦闘の休止と人質の解放をめぐる交渉については、イスラエル側が交渉団を22日に再びカタールに派遣すると明らかにしています。

交渉を後押しするブリンケン長官は21日に、「交渉は引き続き行われ、溝は埋まりつつある。合意に達するにはまだ課題はあるが、可能だと信じている」と述べ、合意は可能だという見方を改めて示しています。

停戦をめぐる双方の立場の隔たりが依然として大きい中、交渉が進展するかが焦点です。

EU首脳会議 ラファへの地上作戦行わないよう求めることで合意

EU=ヨーロッパ連合は21日、ベルギーで首脳会議を開き、ガザ地区の人道状況やウクライナ支援などについて意見を交わしました。

首脳会議で採択された文書によりますと、EU首脳らは「民間人の命が前例のない規模で失われ、危機的な人道状況になっていることに驚がくしている」としたうえで、「持続可能な停戦につながる人道上の戦闘休止を速やかに求める」としています。

そして、イスラエルのネタニヤフ首相が避難者など150万人近くが暮らすラファへの地上作戦を行う構えを崩さないなか「すでに破滅的な人道状況をさらに悪化させ、緊急に必要とされている基本的なサービスや人道支援を届けることを妨げるものだ」として、イスラエル政府に対し、地上作戦を行わないよう求めるとしています。

会議のあとの記者会見でEUのフォンデアライエン委員長は「ガザ地区は飢きんになりかけている。あらゆるルートを使って、速やかに、安全に人道支援を届けることがもっとも重要だ」と強調しました。

ガザ地区 これまでの死者3万1988人 保健当局

イスラエル軍はガザ地区各地での軍事作戦を続けていて、このうち、ガザ地区最大のシファ病院では、3月18日からの4日間で140人以上の戦闘員を殺害したと21日、発表しました。

一方、イスラム組織ハマス側は21日、イスラエル軍が医薬品などの搬入をさせず、患者13人が意図的に殺害されたと非難しています。

ガザ地区の保健当局は21日、過去24時間に65人が死亡し、これまでの死者は3万1988人にのぼると発表しています。

米国務長官「大規模な地上作戦は間違い」

イスラエルのネタニヤフ首相は、避難者など150万人近くが住むラファへの地上作戦を行う構えを崩しておらず、国際社会から強い懸念が示されるなか、中東各国を歴訪中のアメリカのブリンケン国務長官は21日、エジプトを訪れ、シシ大統領などと会談し停戦に向けた交渉について意見を交わしました。

このあと行われた記者会見で、ブリンケン長官は「大規模な地上作戦は間違いで支持することはできない。人道的な大惨事となるだろう。作戦を実施しなくても、効果的にハマスに対処することができる」と述べ、イスラエル側に地上作戦に代わる計画を検討するよう働きかける考えを強調しました。

また、エジプトではカタールやヨルダンなどアラブ各国とパレスチナ暫定自治政府の代表が集まる会合に出席し、イスラム組織ハマスに拘束されている人質の解放やガザ地区への人道支援の拡充などをめぐり協議しました。

このあと行われた記者会見でブリンケン長官は、人質の解放と、即時かつ持続的な戦闘休止が必要だとした上で「交渉は引き続き行われ、溝は埋まりつつある。合意に達するにはまだ課題はあるが、可能だと信じている」と述べ、合意は可能だという見方を改めて示しました。

22日には、ブリンケン長官がイスラエルを訪問するほか、交渉の仲介役を務めるカタールでは、イスラエルとハマス側の交渉団が戦闘休止と人質解放に向け協議を行う見通しで、交渉の行方が注目されます。

国連事務総長 「ガザ地区では停戦が必要」

イスラエル軍による攻撃でガザ地区で多くの民間人が犠牲となるなか、国連のグテーレス事務総長はEU=ヨーロッパ連合の首脳会議に参加し、停戦や人道状況の改善に向けて協力を訴えました。

EUは21日から2日間の日程でベルギーで首脳会議を開き、ガザ地区での人道状況などについて意見を交わしています。

今回の首脳会議では、EUとして▽イスラエルに対し、ガザ地区南部ラファへの地上作戦を行わないよう呼びかけるかや▽「人道上の停戦」を求めるかなどを議論することになっています。

オランダのルッテ首相は記者団に「ラファへの地上侵攻は人道上の大惨事となる。イスラエルにやめるよう求めることが非常に重要だ」と述べましたがEUの高官などによりますと、各国の立場には違いがあり、首脳会議の結論は最後まで見通せないということです。

初日の会議には冒頭、国連のグテーレス事務総長も参加し、人道支援について意見を交わしました。

会議に先立ってグテーレス事務総長は記者団に「ガザ地区では停戦が必要だ。ハマスによるテロ攻撃だけでなく、われわれはガザ地区で大勢の民間人が犠牲になっていることを非難する。国際人道法の基本原則は民間人の保護だ」と述べ、EUに対して停戦や人道状況の改善への協力を求めました。

英外相「人道支援物資の搬入 イスラエルによって恣意的に拒否」

イギリスのキャメロン外相は、ガザ地区への人道支援物資の搬入がイスラエルによって恣意(しい)的に拒否されていると主張しました。

21日、公開された書簡でイギリスのキャメロン外相はイギリスが資金を提供した支援物資の一部がガザ地区との境界で3週間近く足止めされているとしています。

足止めの主な要因としてイスラエル政府による恣意的な拒否や長時間に及ぶ手続きをあげています。

そのうえで「あらゆる支援物資の搬入が滞ったり、拒否されたりしていることに深い懸念を抱いている」としています。