福島第一原発1号機 原子炉真下 初のドローン撮影動画 公開

東京電力福島第一原子力発電所で、メルトダウンを起こした1号機の原子炉の真下のエリアを初めてドローンで撮影した動画が公開されました。「核燃料デブリ」の可能性がある物体や、事故の前は原子炉の底に付いていた機器が複数落ちてきている様子が確認され、東京電力は「損傷の範囲はかなり広い」と分析しています。

東京電力は、福島第一原発1号機で、今月14日に原子炉の真下にあたるエリアにドローンを入れて初めて撮影した動画を21日公開しました。

動画では、本来は原子炉の底に取り付けられている制御棒を出し入れする機器が、複数脱落しているのが確認され、機器の先には、塊状やつららのような状態の物体が付着している様子が確認できます。

この物体は溶け落ちた核燃料と周りの機器などが混ざり合った「核燃料デブリ」を含む可能性があるということです。

東京電力は「事故の影響で原子炉の底付近にあったものがずれ落ちたり落下してきているとみられる。損傷の範囲はかなり広いのではないか」と説明しています。

1号機では、去年、原子炉を覆う格納容器にたまる水の中をロボットで調査し、底の部分にデブリとみられる堆積物が確認されていますが、今回はより原子炉に近い水の上のエリアを撮影しました。

福島第一原発の「核燃料デブリ」は1号機から3号機であわせておよそ880トンにのぼると推計され、このうち1号機は、もっとも多くのデブリが格納容器の底まで溶け落ちているとみられています。

東京電力は、調査で得られた情報を詳しく分析し、デブリの取り出し方法などの検討に役立てたいとしています。

これまでの調査結果は

溶け落ちた「核燃料デブリ」の可能性が高い塊が初めて確認されたのは、2017年7月、3号機で行われた調査でした。

格納容器にたまった水の中に水中ロボットを入れて調査したところ、底の部分に、砂状や塊状の堆積物が、山のように盛り上がって堆積しているのが見つかりました。

2018年の1月には2号機でもデブリとみられる堆積物が確認されました。

実際に触れることができたのは、2019年2月。

2号機の原子炉の真下のエリアに入れた調査装置の先端で小石状の堆積物に触れ、つかんだり動かしたりできることを確認しました。

1号機は損傷が激しかったことなどから調査が遅れていましたが、2022年3月から行った水中ロボットによる調査で、デブリの可能性がある堆積物を確認。

2023年の3月には原子炉の真下にロボットを入れ、塊状やごつごつとした岩のような形のデブリとみられる堆積物が、広がっている様子を捉えました。

また、原子炉を支える「ペデスタル」と呼ばれる高さ8.5メートル、厚さ1.2メートルの土台は、底から1メートルほどの高さまでコンクリートがなくなって骨組みの鉄骨や鉄板などで支えている状態も確認されました。

今回投入のドローンで撮影された映像は

今回投入されたドローンは2機。

幅1メートルもない入り口から、原子炉を支える「ペデスタル」と呼ばれるコンクリート製の土台の内側に入っていきます。

入り口の手前には、ドローンを飛ばす電波を中継するために、先に投入された「ヘビ型ロボット」が見えます。

ここから先、「ペデスタル」の内部は直径5メートルほどの円筒形の空間で、事故の前は何もなく壁だけに囲まれた場所でした。

しかし、入り口を抜けようとしたところで目の前に茶色くさびたような金属製の機器が現れます。

東京電力によりますと、原子炉の運転を制御する制御棒を出し入れするための機器で、原子炉の底に設置されていたものが、脱落してきたとみられます。

ドローンは隙間を縫うように奥へと進んでいきます。

そして、上昇してこの機器の上部にカメラを向けると、そこには塊状の物体が付着していました。

一部は細いつららのような状態で垂れ下がっています。

事故の前にはなかったもので、溶け落ちた核燃料と周りの構造物が混ざり合った「核燃料デブリ」を含む可能性があるとみられています。

ドローンは、さらに「ペデスタル」の内部を進んでいきますが、同じく事故で落ちてきたとみられる機器が次々と現れます。

それぞれの機器にはやはり上から流れ落ちてきたとみられる塊状の物質が付着していました。

公開された動画は、2機のドローンを合わせて8分ほどでした。