ドジャース 山本由伸 デビュー戦は1回5失点 大谷2試合連続安打

大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手がパドレスとの開幕シリーズ第2戦で2試合連続のヒットを打ち、打点もマークしました。一方、この試合で先発登板したドジャースの山本由伸投手は1回5失点で負け投手となり、苦しいデビュー戦となりました。

試合後は、通訳の水原一平氏の解雇が発表された直後の取材機会ということもあり、多くのメディアが大谷選手のまわりに集まりましたが、大谷選手はクラブハウスで報道陣の取材には応じず、帰り支度が済むと集まった記者に「お疲れ様です」と声をかけ、午後11時すぎにクラブハウスをあとにしました。

試合概要

●ドジャースとパドレスの開幕シリーズは21日夜、ソウルの「コチョクスカイドーム」で第2戦が行われました。
●前日の開幕戦は逆転勝ちで勝利を飾ったドジャースは、大谷選手が2試合続けて2番・指名打者、山本投手が大リーグで初めての先発マウンドに上がりました。
●山本投手は1回、パドレスの1番 ボガーツ選手への1球目に155キロのストレートを投げましたが、いきなりレフト前ヒットを打たれました。続くバッターにはデッドボールを当ててノーアウト一塁二塁としたあと、ライト線へのタイムリースリーベースを許して2点を先制されました。山本投手はこのあともコントロールが定まらずにタイムリーヒット2本を打たれるなど立ち上がりに一挙5点を失い、唇をかみしめながらベンチに戻りました。山本投手は2回のマウンドには上がらず1回を投げて43球で5失点。2奪三振ヒット4本、フォアボールとデッドボールが合わせて2つと、苦しいデビュー戦となりました。防御率は45.00となっています。
●大谷選手は1回の第1打席でライト前ヒットを打ち、2回の2打席目は犠牲フライを打って2試合連続でヒットと打点をマークしました。このあと、第3打席はピッチャーゴロ、第4打席はライトライナーでした。第5打席は松井裕樹投手との対戦となり飛距離117メートルの大きな当たりのライトフライに倒れました。
●1点を追う8回の第6打席は2アウト二塁のチャンスで、大谷選手が打席に入ると球場は大歓声に包まれましたが、ファーストゴロに倒れてこの試合は5打数1安打1打点でした。大谷選手は開幕2試合を終えて打率は3割ちょうどとなっています。
●パドレスの松井投手は3分の2イニングを投げてヒット2本を打たれて1失点、自責点はありませんでした。試合は両チーム合わせて33本のヒットが出るなど3時間42分の熱戦となり、パドレスが15対11で勝って開幕シリーズの対戦成績を1勝1敗としました。

=各選手談話=

松井裕樹「アウトに取れてよかった」

開幕戦に続いて2試合連続での登板となった松井投手は、大谷選手との対戦について「どこに投げるのかをしっかり頭に入れて翔平さんというのをあまり意識しないようにした。打球速度も速いし、角度も持っている選手なので行ったかなと思ったがアウトに取れてよかった。ダルビッシュさんにも『よく粘った』と言ってもらいました」と話し、胸をなで下ろしました。その上で「ストレートがちょっと甘いところに入っている。アメリカでの開幕まであと1週間あるので、まっすぐの精度に関してしっかりといい準備をしたい」と話していました。

大谷「お疲れ様です」と報道陣に声をかけクラブハウスをあとに

通訳の水原一平氏の解雇が発表された直後の取材機会ということもあり、多くのメディアが大谷選手のまわりに集まりましたが、球団の広報担当者が報道陣に対して「翔平は答えない」と繰り返し伝えていました。大谷選手はときおりチームメートと会話を交わしながら着替えていて、帰り支度が済むと集まった記者に「お疲れ様です」と声をかけ、午後11時すぎにクラブハウスをあとにしました。

山本由伸「修正するポイントはしっかりわかっている」

大リーグのデビュー戦で制球が乱れたことについて「セットポジションに入ってからの投球がすごく乱れたが、修正するポイントはしっかりわかっているのでピッチングコーチにアドバイスをもらいながら次の試合に向けてやっていきたい」と淡々と話していました。そして、「試合に負けてしまった悔しさはすごく大きいし責任はすごく感じる。まだシーズンは長いのでこれからいいピッチングをしてチームに貢献していけるように頑張りたい」と気持ちを切り替えていました。また、大谷翔平選手の通訳を務める水原一平氏が解雇されたことの影響については「きょうは登板日だったので、あまり話す時間はなく情報は何も持っていないのでわからない。みんなとにかく勝つことに集中して変わらずプレーしていたと思う」と話していました。

ロバーツ監督“難しい試合にはなったがよくやってくれた”

ドジャースのロバーツ監督は15失点を喫して敗れた試合後の会見で、水原氏が解雇されたことがプレーに影響したかという質問に対して「いつもどおりだった。特に中心選手たちはいろいろな経験をしている選手たちだ」と話しました。そのうえで「先発した山本由伸にも影響はなかったと思う。彼らしくない投球だったが、立ち直ってくれる選手だ。難しい試合にはなったが、野手たちはよくやってくれた」として、先発した山本投手をはじめ選手たちを気遣いました。

《試合経過》

13:30ごろ

宿舎出発時の大谷 軽く手を振り移動のバスへ

大谷翔平選手は開幕シリーズの第2戦に向かうため、滞在先のホテルを午後1時半ごろに出発しました。大谷選手は、球団関係者とことばを交わしながらホテルのロビーに姿を見せ、ファンから「大谷さん」と声をかけられると軽く手を振って、球場行きのバスに乗り込みました。

14:00すぎ

大谷選手などが続々と試合会場入り

15:00すぎ

会見で水原氏の質問集中 ロバーツ監督「何も答えられない」

ドジャースのロバーツ監督は午後3時すぎ、試合前の記者会見に臨みました。会見では冒頭から水原氏の解雇について質問が集中し、水原氏が前夜、チームメートに何を伝えたのかや、どのように解雇が決定されたのか、監督自身に動揺があったかという質問に対しては、いずれも「何も答えられない」と回答を控えました。

その上で大谷選手のプレーに影響があるかどうか問われると「翔平は試合に向かう準備ができている」と話しました。そして「われわれは野球をするためにここに来ている。きょうもいい結果を残せるようにしたい」と力強く話していました。ロバーツ監督は、ふだんは記者の質問ににこやかに答える姿が印象的ですが、この日は水原氏に関する質問に対して厳しい表情を崩しませんでした。また、大谷選手の通訳についてはほかのスタッフがサポートするとしています。

15:30ごろ

試合前練習 松井はグラウンドで調整 大谷は姿見せず

試合前、ドジャースの選手たちは午後3時半ごろから1時間半ほどグラウンドで体を動かしてウォーミングアップなどを行いました。大谷選手は前日の試合前は姿を見せましたが、この日はグラウンドには来ませんでした。また前夜の大リーグ初登板で3分の2イニングを投げて無失点だったパドレスの松井裕樹投手はグラウンドでキャッチボールやランニングなどを行いました。

《両チーム先発メンバー》

パドレス(先攻)

パドレスも第2戦の先発メンバーを発表しました。先発マウンドには3年連続でふた桁勝利をあげているマズグローブ投手が上がります。打線はドジャースと同じく前夜の開幕戦と同じメンバーが顔をそろえました。
※成績は昨シーズン
1(二)ボガーツ   右.285 19本58打点 盗19
2(右)タティースJr. 右.257 1本25打点 盗29
3(一)クロネンワース左.229 10本48打点 盗6
4(指)マチャード  右.258 30本91打点 盗3
5(遊)キム・ハソン 右.260 17本60打点 盗38
6(左)プロファー  両.242 9本46打点 盗1
7(捕)キャンプサーノ右.319 7本30打点 盗0
8(三)ウェイド   左.255 0本2打点 盗4
9(中)メリル    左 2023年大リーグ出場なし
(投)マズグローブ 右投 17試合10勝3敗 防3.05

ドジャース(後攻)

第2戦のスターティングメンバーが発表され、大谷翔平選手が2番指名打者に入るなど、野手は前夜の開幕戦と同じメンバーが顔をそろえました。ドジャースの先発投手は予定どおり山本由伸投手で、大リーグデビューを飾ります。
※成績は昨シーズン
1(遊)ベッツ    右.307 39本107打点 盗14
2(指)大谷翔平   左.304 44本95打点 盗20
3(一)フリーマン  左.331 29本102打点 盗23
4(捕)スミス    右.261 19本76打点 盗3
5(三)マンシー   左.212 36本105打点 盗1
6(左)T.ヘルナンデス右.258 26本93打点 盗7
7(中)アウトマン  左.248 23本70打点 盗16
8(右)ヘイワード  左.269 15本40打点 盗2
9(二)ラックス   左 2023年大リーグ出場なし
(投)山本由伸 右投 16勝6敗 防1.21※日本での成績

19:07

試合開始 山本由伸がデビュー

大リーグ、ドジャースとパドレスの開幕第2戦が韓国・ソウルの「コチョクスカイドーム」で始まりました。先攻はパドレス、ドジャースが後攻です。選手紹介の際、大谷選手はいつもと変わらぬ笑顔で、チームメートとハイタッチをしながら整列しました。ドジャースの先発マウンドには山本由伸投手が上がり、大リーグデビューを飾りました。

★1回表 山本は4安打2四死球で5失点(P 5-0 D)

山本投手は1回、1番 ボガーツ選手に対しての1球目、155.4キロの速球を投げ込んだもののレフト前に運ばれいきなりヒットを許しました。続くバッターにはデッドボールを当ててノーアウト一塁二塁としたあと3番 クロネンワース選手には甘く入ったスプリットをライト線に運ばれてタイムリースリーベースを許し2点を失いました。

さらにコントロールが定まらずパドレスの中軸、4番のマチャード選手にフォアボールを与えると、5番に入った地元、韓国のキム選手に犠牲フライを打たれて3点目も奪われました。6番バッターは空振り三振で2つ目のアウトを取りましたが、7番 キャンプサーノ選手にはレフト線へ転がるタイムリーツーベース、8番 ウェイド選手にもライトへのタイムリーヒットを打たれるなど、山本投手は1回から打者9人と対戦し球数は43球、三振は2つ奪いましたが打たれたヒットが4本、フォアボールとデッドボールが合わせて2つで5失点と苦しい立ち上がりとなりました。

★1回ウラ ドジャース 大谷のヒットから1点返す(P 5-1 D)

大谷選手は1アウトランナー無しでこの試合最初の打席に入りました。パドレスのマズグローブ投手にはこれまで通算7打数ノーヒットと苦手にしていましたが、大谷選手は初球のカットボールをライト前に運び、鋭い当たりのヒットを打ちました。
【大谷全球詳細】
1.ライト前ヒット(カットボール144.6km)
さらにドジャースは1アウト一塁二塁から4番のスミス選手がライトの頭を越えるタイムリーツーベースヒットを打ち、二塁ランナーの大谷選手が帰って1点を返しました。このあと2アウト満塁となりましたが7番のアウトマン選手はライトフライに倒れ、ドジャースの反撃は1点どまりでした。

2回表 山本由伸はこの回のマウンドに上がらず

【投手交代】
山本由伸→
グローブ 右 18試合 2勝3敗1H 防6.13
山本投手は2回のマウンドには上がらず2人目のグローブ投手と交代しデビュー戦は1回5失点で降板しました。グローブ投手はこの回ヒット1本を打たれましたが無失点に抑えました。

★2回ウラ 大谷の犠牲フライで3点差に(P 5-2 D)

大谷選手は4点を追う2回ウラ、ワンアウト二塁三塁のチャンスで第2打席を迎えました。マズグローブ投手の2球目、アウトコースのチェンジアップを捉えてライトへ飛距離109メートルの大きな当たりの犠牲フライを打ち、2試合連続で打点をマークしました。
【大谷全球詳細】
1.ボール(チェンジアップ141.7km)
2.犠牲フライ(チェンジアップ141.3km)

★3回表 パドレスが4点追加 リードは7点に広がる(P 9-2 D)

パドレスは3回表、4連打に加えドジャースのエラーなども出て4点を追加し、9対2としてドジャースを突き放しました。

★3回ウラ ドジャースもこの回4点 大谷は投ゴロ(P 9-6 D)

ドジャースも3回ウラ、ベッツ選手の2点タイムリーツーベースなどで4点を返し、9対6としたところで大谷選手に早くも3回目の打席が回りました。大谷選手は2アウト二塁の場面で2人目の左腕のカズグローブ投手に対してスライダーにタイミングが合わずにピッチャーゴロに倒れ、この試合は2打数1安打1打点となりました。
【大谷全球詳細】
1.ボール(スライダー126.9km)
2.空振り(スライダー124km)
3.ボール(スライダー125.6km)
4.ファウル(スライダー124.2km)
5.ファウル(スライダー128.2km)
6.ピッチャーゴロ(スライダー125.8km)
【投手交代】
マズグローブ→
カズグローブ 左投 54試合1勝2敗1S7H 防1.75

★5回表 パドレスが1点追加(P 10ー6 D)

パドレスは、3番 クロネンワース選手のタイムリーヒットで1点を追加し、10対6として再びドジャースを突き放しました。

★5回ウラ ドジャース ベッツの2ランで2点差に(P 10-8 D)

ドジャースは1番 ベッツ選手の今シーズン1号となるツーランホームランで2点差としたあと、大谷選手は1アウトランナーなしで第4打席が回りました。その4球目で大谷選手はアウトコース低めのチェンジアップを振り抜いて鋭い打球を見せましたがライトライナーで、ここまでは3打数1安打1打点となっています。この回ホームランを打ったベッツ選手は2回の第2打席でヒット、3回の第3打席でツーベース、5回の第4打席がホームランで、このあとスリーベースが出ればサイクルヒット達成です。
【大谷全球詳細】
1.見逃し(チェンジアップ141.4km)
2.ボール(チェンジアップ140.6km)
3.見逃し(カットボール141.3km)
4.ライトライナー(チェンジアップ140.4km)

★7回ウラ ドジャースに1点 大谷は松井と対決(P 12-9 D)

パドレスは6回に1点、7回に1点を追加し12対8とリードを4点に広げました。7回ウラ、1アウト一塁の場面で大谷選手に5打席目が回り、ここで4人目のピッチャーとして松井裕樹投手をマウンドに送りました。大谷選手と松井投手の対戦は、日本のプロ野球では2017年以来、7年ぶりとなりました。大リーグ初対戦は、初球、低めのスライダーを大谷選手が豪快に振り抜き飛距離117メートルの大きな当たりを見せましたがフェンス手前のライトフライでした。大谷選手はここまで4打数1安打1打点としています。
【大谷全球詳細】
1.ライトフライ(スライダー137.2km)

松井投手は3番・フリーマン選手にライト前ヒット、4番 スミス選手にはタイムリーヒットを許して大リーグで初めて失点しました。このあとのバッターを抑えた松井投手は3分の2イニングを投げて球数は9球、打たれたヒットが2本で1失点(自責点は0)でした。

★8回ウラ ドジャース1点差に詰め寄る 大谷は右飛(P 12-11 D)

ドジャースは1番 ベッツ選手の2点タイムリーヒットで12対11と1点差まで詰め寄りツーアウト二塁となったところで大谷選手に6打席目がまわりました。パドレスのピッチャーは元阪神のスアレス投手で大谷選手は初球の145キロのツーシームを打ちましたがファーストゴロに倒れてチャンスを生かせませんでした。大谷選手はここまで5打数1安打1打点としています。
【大谷全球詳細】
1.ファーストゴロ(ツーシーム145km)

22:49

試合終了(P 15-11 D)

8回途中から登板したスアレス投手が、9回も登板しました。そしてドジャースの攻撃を3人で抑え、パドレスが15対11でドジャースに勝ちました。試合時間は3時間42分でした。

1回に5点を失った山本投手が負け投手となり、大リーグのデビュー戦は黒星スタートとなりました。防御率は45.00となっています。大谷選手は第1打席で2試合連続のヒット、第2打席で犠牲フライを打ちましたが、その後はヒットはなく5打数1安打、1打点でした。大谷選手は開幕2試合を終えて打率は3割ちょうどとなっています。

ドジャースとパドレスの選手 帰国の途に

開幕シリーズを終えたドジャースとパドレスの選手は、22日午前1時ごろ、インチョン空港にバスで到着しました。

大谷選手は、疲れた表情を見せずに空港のロビーを歩きながら妻の真美子さんに話しかけていたほか、山本由伸投手や、パドレスのダルビッシュ有投手、松井裕樹投手も、見送りに来た多くのファンの声援に応えながら帰国の途につきました。

大谷選手の通訳を務めていた水原一平氏の姿は確認できませんでした。