EU “ロシア凍結資産の利子でウクライナ支援” 加盟国に提案

EU=ヨーロッパ連合は、ウクライナ侵攻を受けて凍結してきたロシア中央銀行の資産から得られる利子をウクライナへの支援に活用する方針をまとめ、加盟国に提案しました。

EUの執行機関にあたるヨーロッパ委員会は20日、ウクライナへの軍事侵攻を受けて制裁として域内で凍結してきたロシア中央銀行の資産、およそ2100億ユーロ、34兆円あまりから得られる利子をウクライナへの支援に活用する方針をまとめ、加盟国に提案しました。

年間25億から30億ユーロ、4000億円から5000億円程度が見込まれていて、EUは、このうち90%を軍事支援に、残りの10%をウクライナの復興や防衛産業強化のための資金支援に活用したい考えです。

ロシアの凍結資産をめぐってアメリカは資産そのものを没収し、活用することに積極的ですが、EUは、フランスやドイツなど一部の加盟国から没収についての合法性を問う声やロシアによる報復措置を懸念する声などが上がっていると報じられ、慎重な姿勢を示しています。

凍結資産そのものではなく利子をウクライナ支援に活用する今回の提案をめぐっては、21日から行われるEUの首脳会議でも話し合われる予定です。

ヨーロッパ委員会はできるだけ早くすべての加盟国の合意を得て、ウクライナ支援につなげたい考えです。

ロシア報道官「国際法の法的基盤を破壊するもの」

この提案についてロシア大統領府のペスコフ報道官は20日、記者団に対し「ヨーロッパの法律と国際法の法的基盤を破壊するものだ。このような決定は自国の経済やイメージ、評判に悪影響を及ぼすと十分わかっているはずだ。決定を下した人々や国々は間違いなく、何十年にわたり訴訟の対象となるだろう」と述べ、強く反発しています。