民主主義サミット 韓国大統領 “偽情報への対応 各国連携を”

アメリカの提唱で2021年に始まった民主主義サミットの首脳会合が20日夜行われ、主催した韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は、ことし世界各地で重要な選挙が予定されている中、選挙に影響を与えかねない偽情報への対応で各国が連携して取り組む必要があると強調しました。

アメリカのバイデン政権の提唱で2021年に始まった民主主義サミットは2024年は韓国の主催で3月18日から閣僚会合や市民団体による討論などが行われ、最終日の20日は首脳会合がオンラインで行われました。

首脳会合では、2024年、世界各地でリーダーや議会の構成を決める選挙が予定されている中、選挙と偽情報について話し合われました。

この中で、議長を務めたユン・ソンニョル大統領は「公正な選挙によって民主主義の土台を守るというわれわれの責務はかつてなく重大だ。偽情報に対応する法律と制度をともに準備しなければならない」と述べて、選挙に影響を与えかねない偽情報への対応で各国が連携して取り組む必要があると強調しました。

さらに、北朝鮮などを念頭に「国境を越えて他国の選挙に影響を及ぼそうとする勢力に対しても厳格に法を執行できるよう国際社会が協調すべきだ」と述べました。

岸田首相「偽情報対策で国際社会と連携」

岸田総理大臣は、韓国で開かれた「民主主義サミット」にオンラインで参加し、民主主義に不可欠な健全な議論や討論が行われる環境を守るため、AIなどの技術を悪用した偽情報対策に国際社会と連携して取り組む考えを強調しました。

「民主主義サミット」は、民主主義国家の結束を図ろうとアメリカのバイデン大統領の呼びかけで始まったもので、3回目の今回は、韓国で開かれました。岸田総理大臣は、20日オンライン形式で開かれた首脳会合に参加し「インターネットやSNSの発達で、情報が瞬時に入手できるようになった一方、差別的言動などが容易に拡散されるようになった。その結果、非難の応酬や沈黙が生まれ、社会に分断が生じ、民主主義に不可欠な健全な議論や討論ができなくなる恐れがある」と指摘しました。

そして「生成AIによるディープフェイクやなりすまし音声には情報の真偽の区別を困難にさせ社会の不安定化や混乱を招くリスクがある」として、日本でも偽情報の拡散を防ぐための技術開発や、事業者に対する規制の検討などを進めていることを説明しました。

その上で「偽情報の拡散は、各国共通の課題で、国際的な共通理解と連携が必要だ。技術の恩恵を享受しつつ、民主主義をはじめとする普遍的価値を擁護するため、国際社会とともに取り組んでいく」と強調しました。