資産運用会社 企業の株主総会 議決権行使の基準厳しくする動き

企業に経営改革を促そうと、国内の資産運用会社の間では、収益性や株式市場の評価が低い企業に対し、株主総会で代表取締役の選任に反対するなど、議決権行使の基準を厳しくする動きが出始めています。

資産運用会社は投資家から集めた資金を企業の株式などを通じて運用していて、株主総会では、投資家に代わって株主として議決権を行使します。

このうち、三菱UFJアセットマネジメントは議決権行使の基準を見直し、収益性や株式市場の評価が低い企業に対して、代表取締役の再任に反対します。

対象は、経営の効率性を示すROE=自己資本利益率が3期連続で8%を下回るうえ、株価の水準を示す指標の1つ、PBR=株価純資産倍率が1倍を割り込んでいる企業で、2027年4月から適用します。

また、ニッセイアセットマネジメントは、PBRが1倍未満で、東京証券取引所が求める株価向上策などの開示がない企業に対し、来年6月以降、代表取締役の選任に反対することを決めました。

このほか、取引先との関係維持などを目的に企業が保有している政策保有株についても、一定の基準を超える場合には、代表取締役の選任や再任に反対する動きも出ています。

東証は去年3月、市場での評価を意識した経営を促すため、上場企業に対応策を公表するよう求めていて、運用会社の新たな取り組みがどこまで企業の姿勢に変化を促すかが注目されます。