高校野球 センバツ 中央学院が勝利 耐久は初出場初勝利ならず

センバツ高校野球、大会3日目の第3試合は千葉の中央学院が和歌山の耐久高校に7対1で勝って、2回戦に進みました。

中央学院は1回、2アウト一塁、三塁で5番の颯佐心汰選手がタイムリーヒットを打って先制しました。

6回には1アウト一塁、二塁で1番・青木勝吾選手の2点タイムリースリーベースヒットで追加点を奪い、さらに、3番の水嶋悠選手もタイムリースリーベースヒットを打って4対0とリードを広げ、その後も得点を重ねました。

投手陣では、先発した背番号「10」の臼井夕馬投手がスリークォーターから力のあるストレートで押し込むピッチングで5回・70球を投げて無失点に抑えました。

6回からはショートを守っていた颯佐選手が2人目として登板し、4イニングを1失点にまとめて中央学院が耐久に7対1で勝ち2回戦に進みました。

中央学院は6年前に春・夏連続で甲子園に出場しましたがいずれも勝つことができず、20日が甲子園初勝利となりました。

春夏通じて初出場となる耐久は先発の冷水孝輔投手が5回まで毎回ランナーを出しながらも粘りのピッチングを見せて1失点で切り抜けましたが、6回に速球が甘く入って失点を重ねて敗れました。

《中央学院 監督・選手談話》

相馬監督「非常に楽しい初戦 初勝利は感慨深い」

春夏通じて初勝利となった中央学院の相馬幸樹監督は「非常に楽しい初戦でした。初勝利は感慨深いです」と話しました。
また、青木勝吾選手の2点タイムリースリーベースなどで3点をあげた6回の攻撃については「次の1点がどうしても欲しい場面で、この試合の『キーマン』と思っていた青木選手がよく打ってくれました」とたたえていました。
そして、先発ピッチャーとして起用して5回・無失点と好投した臼井夕馬投手については「本当にナイスピッチング。成長していると思います」と評価していました。

先制打 颯佐心汰 選手「まず1勝できてよかった」

中央学院で先制のタイムリーヒットを打った、颯佐心汰選手は「打った球はスライダーだと思います。先制点がとにかくほしかったので、どんな形でも内野の間を抜こうと打席に入りいい結果になりました」と振り返りました。そして「学校の歴史としてまず1勝できてよかったです」と話しました。
一方で2番手として登板したピッチングについては「結果は課題が残るものだったと思います。また、バッティングにも課題がありました。次の試合に向けてそれらの課題を克服していきたいです」と気を引き締めていました。

3打点 青木勝吾 選手「しっかり勝ちきれてうれしかった」

中央学院の1番バッターとして3打数2安打3打点と活躍した青木勝吾選手は「しっかり勝ちきれて、うれしかったです」と喜びを表していました。このうち、追加点がほしい6回に2点タイムリースリーベースを打った場面については「『最初のストライクから積極的に打とう』と試合前から決めていた。次のバッターにつなごうと打席に入りましたが、いい結果が出てよかったです」と話していました。
青木選手は、反発力を抑えた、いわゆる「飛ばないバット」が導入されたことを受けて「伸びない」と感じているフライではなく、ライナー性の打球を打つことを心がけているということで「どんな内容でも塁に出て、相手が嫌がる1番バッターになりたいです」と2回戦に向けて意気込んでいました。

臼井夕馬 投手「チームに流れ呼び込む投球できた」

中央学院の先発ピッチャーとして5回・無失点と好投した臼井夕馬投手は「絶対に1勝すると思っていました。チームに流れを呼び込む投球ができてよかったです」と話しました。
右投げの臼井投手は、投球の際に上げる左足を2回上下させるいわゆる「2段モーション」を取り入れていますが、これは、フォームの安定感を欠いていたことから新たに始めたことだということです。これについて臼井投手は、「悩んできた中でやってきた練習が間違っていなかったと感じました」と話していました。
そのうえで2回戦に向けて「野手がいい流れで打てるように無失点で抑えていきたいです」と話していました。

《耐久 監督・選手談話》

井原監督「初回のチャンスを逃したのがすべて 率直に悔しい」

耐久高校の井原正善監督は「初回のチャンスを逃したのがすべてだった。率直に悔しいです」と振り返りました。
先発した冷水孝輔投手については「寒さもあり強い球を投げられるという彼、本来のよさは出なかったが、粘り強さを見せてくれました」とたたえました。
そのうえで今後に向けて「この場所でプレーするだけでも大きな収穫なので、あらゆる面でスケールアップして甲子園基準で上を目指してやっていきたい」と前を向いていました。

冷水孝輔 投手「もっとレベルアップして 甲子園に戻ってきたい」

耐久高校の先発ピッチャー、冷水孝輔投手は5回まで1失点に抑えたことについて「ヒットやフォアボールでピンチを作りましたが、粘り強いピッチングでしのぐことができたのでよかったかなと思います」と振り返りました。
一方で6回、7回と失点を重ねたことについては、5回終了後のグラウンド整備について触れ「間があいて寒さで体が冷えてしまい、疲れも出てきて思ったように投げられませんでした。準備不足でした」と悔やんでいました。
そのうえで今後に向けては「制球力を中心にもっとレベルアップして、もう一度甲子園に戻ってきたいです」と話していました。

◇耐久 “自主性重視”でたどりついた大舞台

敗れた耐久高校は「江戸時代末期の創立」「創部120年目」「春夏通じて初出場」ということで、今大会の出場校の中でも特に注目を集めた1つのチームです。

そのチームが甲子園の土を初めて踏んだ大きな要因が「自主性を重視した」トレーニング方法でした。

指揮を執る井原正善監督は「私は本当は“昭和な感じ”。言いたい部分はあるが…」としながらも、新チームが発足した去年の秋以降、指導法を「自主性重視」に大きくかじを切りました。

県立高校でグラウンドが使える時間が限られる中で、自主トレーニングの時間を2倍に。みずからの課題を自身で考え、克服するための取り組みを始めたのです。

そして、たどりついた大舞台の試合前。

選手たちはどんな様子なのか、井原監督に尋ねると少し戸惑った様子も見せながら次のように答えました。

「僕ら初出場なんですけど、なんか、今の子たちってよくも悪くも、いい意味なんですが、“無頓着”というか、普通どおりという感じでした」

中央学院との一戦。選手は培ってきた「自主性」の成果を発揮しました。
主軸の1人、5番の白井颯悟選手は、今大会から低反発の金属バットが導入されることから、打球を遠くに飛ばせるような力強いスイングを作ろうと、連続で打つティーバッティングを自主的に始めました。その結果、20日の試合では、ツーベースを含む2本のヒットを打つことができました。

試合後の白井選手は「速いボールにも対応できて練習の成果を出すことができました」と話しました。
一方で「この試合も課題が多く出ました。あすの練習から出直していきたいです」とすぐに切り替えていました。

選手たちは20日、歴史あるチームで新たな一歩を踏み出しましたが、井原監督は強豪ぞろいの和歌山での「夏」の大会に向けて「和歌山は強いチームが多いが、夏、またこの舞台で戦えるように選手とともに準備していきたい」と前を見据えていました。