NATO事務総長 ロシア離れ加速のアルメニア訪問 関係強化で一致

NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は、ロシア離れの動きを加速させている旧ソビエトのアルメニアを訪れ、双方は関係を強化させていく考えで一致しました。

NATOのストルテンベルグ事務総長は19日、アルメニアの首都エレバンを訪れ、パシニャン首相とそろって記者会見しました。

パシニャン首相は「これまでも行ってきた政治的対話を発展させ、NATOとも、それぞれの加盟国とも協力を広げていくことを強く期待している」と述べました。

これに対し、ストルテンベルグ事務総長も、アルメニアがロシアから軍事侵攻を受けているウクライナへの連帯を示していると歓迎したうえで、「協力をさらに強化し、地域の平和と安定、発展のためにともに取り組みたい」と述べ、双方は関係を強化させていく考えで一致しました。

旧ソビエトのアルメニアは、ロシアが主導する軍事同盟に加盟し、安全保障や経済分野などでもロシアの強い影響を受けてきました。

しかし近年、ロシアのプーチン政権との対立を深め、欧米への接近を強めていて、2月には、
▽ロシアが主導する軍事同盟への参加を凍結したと表明したほか
▽ウクライナで行われた戦争犯罪の疑いで、プーチン大統領に逮捕状を出している国際刑事裁判所の加盟国となっています。

ストルテンベルグ氏が、NATOの事務総長としてアルメニアを訪れるのは、初めてだということで、ロシアは警戒を強めています。

ロシア大統領府 “NATOの試み 安定性高めるものではない”

NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長が、旧ソビエトのアルメニアを訪れたことについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、記者団に対し「NATOが、この地域で影響力と存在感を高めたいという試みは安定性を高めるものではない」とけん制しました。

アルメニアは、ロシアが主導する軍事同盟CSTOに加盟していますが、パシニャン首相は2月に参加を凍結すると表明するなど、ロシア離れの動きを加速させていて、旧ソビエト諸国をみずからの勢力圏とみなすプーチン政権は、警戒を強めています。