土の中の微生物で地下深くまで地盤固める新技術開発 東大など

土の中にすむ微生物の働きを増進させて地盤を地下深くまで固める新たな技術を東京大学などの研究グループが開発しました。2024年度中にも屋外での実証実験を行う予定で、将来的には地震による液状化対策などにも応用したいとしています。

この技術は、東京大学と都内の民間企業の研究グループが開発したもので、カルシウムと食品添加物にも使われる栄養剤を土の中に注入することで、もともと生息している微生物が貝殻の成分である「炭酸カルシウム」を作り出す働きを増進させて、地下深くまで地盤を固めるものです。

国内の複数の場所で採取した軟弱地盤の土壌350グラムに、栄養剤を加えて室内で実験したところ、数週間程度で、それぞれ1平方メートルあたり10トン程度の重さまで耐えることができる強度に固めることができたということです。

研究グループによりますと、環境への負荷が少ないのが特徴だということで、すでに特許を取得し、2024年度中にも、25平方メートルほどの敷地を利用した屋外での実証実験を行うことにしています。

将来的には、地震による液状化対策や、有害物質で汚染された土壌の封じ込めなどにも応用したいとしています。

開発した東京大学理学部の鈴木庸平准教授は「思った以上に土が固まり、強度もある。微生物には、人が持っていない力があり、それを活用することで社会的な問題を解決する可能性を秘めている」と話していました。