高校野球 センバツ 明豊が敦賀気比にサヨナラ勝ち 接戦制す

センバツ高校野球、大会2日目の第2試合は大分の明豊高校が福井の敦賀気比高校に1対0でサヨナラ勝ちし、2回戦に進みました。

明豊は背番号11の寺本悠真投手が先発し、持ち味のコントロールのよさを生かしたピッチングで、7回途中まで無失点の好投を見せました。

2人目でマウンドに上がった背番号1の野田皇志投手も緩急をつけたピッチングを見せ、9回を終えて敦賀気比に得点を許しませんでした。

打線は0対0の9回、2アウト一塁二塁の場面で4番の石田智能選手がライト前に運ぶヒットを打ち、二塁ランナーの木村留偉選手が一気にホームインして1対0でサヨナラ勝ちし、2回戦に進みました。

一方、敦賀気比はエースの竹下海斗投手が毎回のように得点圏にランナーを背負いながらも、要所を締めるピッチングで9回途中まで好投を見せましたが、打線が援護できませんでした。

《明豊 選手談話》

サヨナラ打 石田智能 選手「サヨナラヒットは人生で初めて」

9回にサヨナラのタイムリーヒットを打った明豊高校の4番、石田智能選手は「優勝するという強い気持ちを持って初戦をこういう形で勝てたことはよかったです。サヨナラヒットは人生で初めてで、勝負強さを見せることができました」と明るい表情で話しました。
そして、次からの試合に向けて「このチームは長打を打てる選手や足の速い選手がいますが、自分は勝負強さにこだわっていきたい。甲子園はどこのチームも強いと思いますが、相手は関係なく、自分たちができるプレーをやっていきたいと思います」と話していました。

寺本悠真 投手「2回以降は打たせてとるピッチングできた」

先発ピッチャーで、7回途中まで無失点の好投を見せた明豊高校の寺本悠真投手は「先発ということはけさ、バスで移動中にLINEでオーダー表が送られてきて知りました。びっくりしました」と話しました。
そして、自身の投球を振り返って「初回は緊張して制球が定まりませんでしたが、2回以降は緊張がとけて、いつもどおり打たせてとるピッチングができました。内野ゴロを打たせることができたので、抑えられたんだと思います」と話しました。
そして「どこを任されても、いつもどおり打たせてとるピッチングをして勝利に貢献したいです」と次を見据えました。

《敦賀気比 選手談話》

西口友翔 主将「力不足を感じた」

敦賀気比高校のキャプテン、西口友翔選手は「ピッチャーは粘ってくれましたが、打線がチャンスを生かせずに、つらい試合展開にしてしまい、力不足を感じました」と悔しさをにじませました。
そして、去年に続いて初戦で敗れた大会を振り返って「緊張はしませんでしたが、自分たちの力を発揮することができませんでした。気持ちの面でも成長しないといけませんし、技術もまだまだ足りないので練習を頑張っていきます」と話していました。

竹下海斗 投手「再び甲子園に戻ってこられるよう練習」

146球の力投も敗れた敦賀気比高校のエース、竹下海斗投手は「立ち上がりの部分や投球のテンポなどで思いどおりには投げられませんでしたが、それでも無失点を続けられたのは成長した部分だと思います」と自身の投球内容を振り返りました。
また、9回途中で交代し、センターの守備についた場面を振り返って「少し足がつっていて、ボールの勢いも落ちていたので妥当だったと思います。信じて守っていました」と話しました。
そのうえで「勝ちきれなかったことは悔しいですが、試合で出た課題を克服して、夏に再び甲子園に戻ってこられるよう練習していきたいです」と成長を誓いました。

◇明豊 勝因は “飛ばないからこそのスタイル”

“打球が飛ばないならばどうするか”

反発力を抑えた新たな基準の金属バットで打球の速度や飛距離が落ちることが見込まれる中、今大会は点を取るための各チームの戦術が問われています。

サヨナラ勝ちした明豊は、この冬取り組んできた「走塁」が実を結び、勝利を呼び込みました。

【取り組んできたのは「スライディング」】
最後までスピードを落とさずに滑り込む意識を徹底し、少しでも速く塁に到達する練習を繰り返しました。

【磨いてきた「判断力」】
三塁コーチを務める選手は、従来のバットと新しい基準のバットで打球のスピードが違うことを実感し、どういう打球ならばホームをねらうか修正を重ねてきました。

その成果が現れたのは、きわどいタイミングでの得点につながったサヨナラの場面でした。

チャンスを作るもののなかなか得点を奪えずに迎えた9回。1アウトから1番の木村留偉選手がヒットで出塁。その後、2アウト一塁二塁となって、4番の石田智能選手に打席が回りました。

その5球目。

二塁ランナーだった木村選手は、石田選手がスイングした瞬間に勢いよくスタートを切りました。

打球はセカンドの脇を抜けてライト前へ。

外野に抜けるやいなや、三塁コーチの櫻井勇季選手は迷わず腕を回しました。

ライトからのバックホームはセーフかアウトか微妙なタイミングでしたが、木村選手はスピードを落とさずにホームに滑り込んで、判定はセーフ。磨いてきた走塁で決勝点をもぎ取りました。

サヨナラのホームを踏んだ木村選手は「セーフになることしか意識していませんでした。スライディングはいつもどおりできましたし、スタートの判断もばっちりでした」と自信を持って話しました。

三塁コーチの櫻井選手は「練習試合でもずっと三塁コーチをしてどの程度の打球なら腕を回すか、川崎絢平監督に聞きながらやってきました。新基準の金属バットでなかなか点が入りにくくなりそうなのでギリギリのところでもしっかり判断していきたいです」と話していました。

新基準の金属バットへの対応で、1つのスタイルを示した明豊。

2回戦も好走塁で得点を奪えるか注目です。