プーチン大統領 選挙圧勝から一夜 軍事侵攻進める姿勢を強調

ロシアの大統領選挙で圧勝したプーチン大統領は、選挙から一夜明けた18日、ロシアがウクライナ南部のクリミアを一方的に併合してから10年になったのにあわせて開かれた集会で演説し、クリミアの支配を続けるとともに、支配地域の拡大に向けて軍事侵攻を進める姿勢を強調しました。

今月17日までの3日間投票が行われたロシアの大統領選挙は、プーチン大統領が87%余りの得票率でほかの候補者を圧倒して勝利しました。

選挙から一夜明けた18日は、プーチン政権が2014年の3月にウクライナ南部のクリミアを一方的に併合してから10年となり、首都モスクワの中心部の赤の広場では大規模な集会が開かれ、プーチン大統領が演説しました。

この中でプーチン大統領は、クリミアについて「戦略的に重要な領土ということだけでなく、われわれの歴史であり、誇りだ」と述べ、ウクライナ軍が奪還を目指す中、ロシアが支配を続けると強調しました。

また、ロシア南部ロストフ州から、すでに掌握したウクライナ東部や南部をつなぐ鉄道を復旧させ、まもなくクリミアまで路線がつながる予定だと明らかにしました。

会場のステージには、大統領選挙に立候補したほかの3人の候補者も登壇し、プーチン大統領のもとに国民が結束していると印象づけるねらいとみられます。

プーチン大統領としては、選挙で圧勝した直後に、国民の多くが支持するクリミア併合の意義を改めて訴えかけることで、ウクライナの支配地域の拡大に向けて軍事侵攻を進める姿勢を強調したものとみられます。

クリミアの一方的併合から10年 モスクワ市民は

ロシアがウクライナ南部クリミアの一方的な併合を宣言してから10年となったことについて、首都モスクワの市民からは「ロシアに戻った記念日だ」という声が多く聞かれるとともに、一方的な併合に至った経緯に疑問を抱く声も聞かれました。

60代の女性は「18日は記念日です。とてもうれしいことで、クリミアはずっと私たちのものでした。すべてが正常に戻ったことに感謝します」と話していました。

ロシアによる併合前にクリミアに住んでいたことがあるという21歳の学生は、「住民の生活や医療水準はずっと良くなり、多くの病院が建てられ、道路が修復され、都市は復興しました。クリミアはいま、生き生きと繁栄しています」と話し、ロシアのもとで発展を遂げているという考えを示しました。

一方、23歳の男性は「私には関係ないことです。おそらく住民の多くが本当に望んでいたのでしょう。ただし、住民投票は公正だったのか、よくわかりません」と話し、ロシアが併合する前に行った住民投票の方法に疑念を示しました。

40代の女性は「矛盾した思いを抱いています。どのようにして併合が実現したのかが大きな問題です」と話し、一方的な併合に至った経緯に疑問を抱いていました。