輪島大規模火災を教訓 大津波警報時の消火活動について議論

能登半島地震で起きた石川県輪島市の大規模な火災を教訓に防災や消防体制などについて話し合う国の検討会の初会合が開かれ、大津波警報が発表され消防職員などにも避難が呼びかけられる中での消火活動の在り方などについて、ことし夏をめどに議論をまとめることになりました。

18日開かれた国の検討会の初会合では、火災の専門家や消防関係者など20人余りが参加しました。

会合は一部非公開で行われ、国の研究機関が行った調査で輪島市の「朝市通り」で発生した大規模な火災の焼失面積はおよそ4万9000平方メートルにのぼり、断水の影響で消火栓が使えなかったことや、古い木造の建物が密集していたことなどが延焼の拡大につながったと報告されました。

また当時、大津波警報が発表される中で消火活動が行われましたが、これらが無かった場合、焼失面積が2倍以上に拡大していたおそれもあるとの分析結果が説明されました。

会合では、住民や消防団員も避難が必要な中で、火災の通報や初期消火に遅れが出たことや、建物の倒壊や地盤の隆起などにより水の確保が難しかったことなどを教訓に、地震や津波の際の消防活動の在り方や防火水槽など設備の対策について、ことし夏をめどに報告をまとめることになりました。

座長を務める東京理科大学の関澤愛教授は「東日本大震災のあと津波警報が出たら消防も住民とともに避難することが確立している一方、輪島市の現場では消火活動が行われなければ倍の延焼面積だったという分析結果があり、非常に苦悩の中で行動を迫られたと思う。安全確保のルールの具体化など津波警報時の浸水想定区域での消防活動について再検討が必要になる」と話していました。