“月面で水素・酸素作り出す”装置公開 今冬にも打ち上げ計画

月面での人類の活動を見据え、水から水素と酸素を作り出すための新たな装置が18日都内で公開されました。この装置はことし冬にも、月面着陸を目指すベンチャー企業の着陸船に搭載されて打ち上げられる計画です。

公開されたのはビルの空調システムなどを手がける設備工事会社、高砂熱学工業が新たに開発した「月面用水電解装置」で、18日は報道陣に試験用のモデルが公開されました。

サイズは、たて30センチ、横45センチ、高さおよそ20センチで、水を電気分解し水素と酸素を作りだします。

企業によりますと、配管を固定するなど打ち上げや着陸時の振動に備える強度の高い設計にしたほか、宇宙空間の強い放射線を浴びても壊れにくい半導体を採用するなど工夫を凝らしたということです。

月をめぐっては近年、水の存在を示す研究論文が相次いで発表されていて、水を電気分解して水素と酸素をつくれれば、ロケットの燃料や空気として利用でき、月での長期滞在が可能になると期待されています。

この装置は月面着陸を目指すベンチャー企業「ispace」の着陸船に搭載されてことし冬にも打ち上げられ、着陸後、あらかじめ装置内に入れた水を使って月面でも作動するかを実証する計画だということです。

高砂熱学工業の小島和人社長は「宇宙に向けた開発は初めてで、契約や技術の面で慣れないことも多く、ようやくここまで来たとほっとしている。あとはわれわれの技術者が作った装置を信じて待ちたい」と話していました。