クリミア併合10年 ウクライナ政府高官“一刻も早く奪還を”

ロシアによる一方的な併合から10年となるのに合わせ、ウクライナ政府でクリミア政策を統括する高官がNHKの単独インタビューに応じ、クリミアではロシア化が進められているとして「一刻も早く奪還しなければならない」と述べ、国際社会に協力を呼びかけました。

ウクライナ政府でクリミア政策を統括するタミラ・タシェワ大統領常任代表は3月15日、首都キーウでNHKのインタビューに応じ、ロシアが一方的に併合したクリミアについて「この10年間、クリミアの住民は自由がなく、法の支配もない恐怖の中で暮らしている」と指摘しました。

そして、ロシアからおよそ80万人が移住する一方で、多くのウクライナ人が弾圧を受けてほかの地域への避難を余儀なくされ、クリミアではロシア化が進められているとしています。

また、クリミアで行われたインフラの建設について触れ「高速道路は兵員や軍の装備を効率的かつ迅速に移動させるために設計され、橋も主に軍事目的で建設された」と指摘し、地域の発展ではなく、ウクライナを攻撃する目的だったと批判しました。

特にロシアとクリミアを結ぶ橋については「ここを通ってさまざまな兵器が絶えず供給されていて、存在すべきではない」と述べ、今後もウクライナ軍の攻撃対象になるという見方を示しました。

そして「『時間』は重要な要素だ。クリミアを一刻も早く奪還しなければならない。私は日本の人たちの、北方領土をめぐる痛みを深く理解している」と述べ、北方領土と重ねながら奪還を急ぐ必要があると訴えました。

タシェワ氏は国際社会に対し、10年前のロシアによる併合に対し反応が抑制的だったとしたうえで「併合に反対する声明の発表以外に、すべてのパートナーが積極的な措置をとっているわけではない」と指摘し、各国から最大限の軍事支援を得ることがクリミア奪還に向けても重要だとして、協力を呼びかけました。