高校野球 センバツ 星稜が田辺に競り勝ち2回戦へ

センバツ高校野球、大会1日目の第2試合は石川の星稜高校が21世紀枠で出場の和歌山の田辺高校に4対2で勝って2回戦に進みました。

試合は、田辺が1点を追う4回に1アウト三塁のチャンスで5番の前田海翔選手がスクイズを決めて2対2の同点に追いつきました。

その後は両チームともチャンスを作りながら得点を奪えない展開が続きましたが、星稜が9回、1アウト二塁三塁のチャンスで代打の東汰生選手がライト前に落ちる2点タイムリーヒットを打って勝ち越しました。

星稜は4対2で勝って2回戦に進み、去年就任した山下智将監督にとって甲子園での初勝利となりました。

田辺は、9回ウラに1アウト二塁三塁のチャンスを作りましたがあと1本が出ず、昭和23年以来、76年ぶりのセンバツ勝利はなりませんでした。

《星稜 監督・選手談話》

山下監督「最後まで粘って頑張ってくれた」

監督就任以来、甲子園で初勝利をあげた星稜高校の山下智将監督は「甲子園で1点を取る、1勝することの難しさを感じた試合だったが、選手たちが最後まで粘って頑張ってくれました」とかみしめるように語りました。
9回に2点タイムリーヒットを打った代打の東汰生選手については「少しつまった彼らしいヒットだった。よく練習する子で、彼の努力が実ってよかった」と話していました。
そして「2回戦も泥臭く最後まで諦めずに一生懸命やる自分たちのスタイルで総力戦でやっていきたい」と話していました。

決勝打 東汰生 選手「しっかりと戦う姿を多くの人に見てほしい」

9回に代打で出場し2点タイムリーヒットを打った星稜高校の東汰生選手は「いつでも出られる準備はしていました。打球がつまったんですが、落ちてくれという思いで走りました。ピッチャーがねばって、皆がつないでくれて、皆でつかんだ勝利です」と話していました。
能登半島地震の被災地、石川県からも大勢の人が応援にかけつけたことについては「応援の声は届いていました。地震を経験し、自分も不安や恐怖を感じました。断水や停電が続いている地域もあり、自分たちがなんとかするとは言えないですが、1戦1戦しっかりと戦う姿を多くの人に見てもらいたいです」と話していました。

《田辺 監督・選手談話》

田中監督「夏に向けて修正をしていきたい」

田辺高校の田中格監督は「初の甲子園でしたが、本当にすごい場所だなと感じました。選手たちもアルプスの声援を受け、日本一のチームを相手に戦い抜いてくれました」と笑顔で振り返りました。
完投した寺西投手について「けがで調整が遅れたが求めている以上のピッチングを見せてくれた」と評価しました。
そのうえで「細かい部分でミスが出るか出ないかが勝敗を分けたと思います。この経験はプラスになると思いますし、夏に向けて修正をしていきたいです」と今後の意気込みを話しました。

寺西邦右 投手「夏、またこのマウンドで投げたい」

田辺高校の先発ピッチャー、寺西邦右投手は「秋以降のけがから復帰して1か月半ほど調整を続けてきましたが、きょうは半分くらいは思いどおりのボールを投げることができ、80点くらいの投球でした」と振り返りました。

そのうえで「どんどんストレートで押していくことを意識しましたが、制球が定まらず球数が多くなったのが課題です。甲子園という憧れの舞台で投げて、夏、またこのマウンドで投げたいという思いが強くなったので改善して夏に臨みたいです」と夏に向けた決意を語りました。

星稜側アルプス席 “石川県などから約900人”が応援に

星稜高校側のアルプス席には、能登半島地震で大きな被害が出た地元、石川県などからおよそ900人が応援にかけつけたということです。

能登半島地震で自宅の周辺の道路にひび割れなどの被害がでたという金沢市の女性は「ふだんの練習どおりにやって、被災地の思いも背負ってぜひ頑張ってほしい」と話していました。

また、星稜高校野球部の応援団長の中本悠雅さんは「相手の応援が大勢来ているが、自分たちも負けないように応援したい。自分たちの代で監督に甲子園での初勝利を届けたいし、選手たちが頑張ることで復興にもつながると思うので、勝ってほしい」と話していました。

田辺 敗れるも“夏に向けて確かな手ごたえ”

21世紀枠で出場した田辺高校は、去年秋の明治神宮大会を制した星稜高校を最後まで苦しめ、敗れはしたものの夏に向けて確かな手応えをつかみました。

センバツ高校野球で21世紀枠の高校が一般選考の高校に勝ったのは2015年の愛媛・松山東高校が最後で、田辺の田中格監督は試合前「うちがもし勝つなら1対0しかないと思う」と控えめなコメントでした。

しかし、ふたを開けてみると試合は9回まで2対2の大接戦。白熱した展開となりました。

接戦を演出したのは田辺のエース、寺西邦右投手の好投です。9回に追加点を許したものの1人で139球を投げ、独特のインステップから投げ込む力のある速球で星稜打線を最後まで苦しめました。

昭和23年以来、76年ぶりのセンバツ勝利を後押ししようと、地元・和歌山からはバス40台余りで2800人の大応援団が駆けつけ、田中監督は「アルプスからの大声援、地元の後押しがいい試合ができた要因の1つ。日本一のチームとの対戦は、今後の財産になる」と感謝しました。

和歌山には甲子園の常連校の智弁和歌山高校をはじめ、市立和歌山高校など強豪校が顔をそろえますが、明治神宮大会を制した“日本一”のチームをあと一歩のところまで追い詰めた選手たちは、春の経験を夏につなげ再び甲子園を目指します。