【詳細】イスラエル 交渉団をカタールへ 交渉再開の見通し

イスラエルとイスラム組織ハマスの間の戦闘休止などに向けた交渉について、イスラエル側は15日、再び交渉団をカタールに送ることを決め、中断していた交渉が再開される見通しとなりました。

※イスラエルやパレスチナに関する日本時間3月16日の動きを随時更新してお伝えします。

ユニセフ「子どもたちの命守るため 即時の人道的停戦を」

イスラエル軍はガザ地区の各地で攻撃を続けていて、地元の保健当局は15日、過去24時間に149人が死亡しこれまでの死者は3万1490人にのぼると発表しました。

また、15日にはEUなどが手配した食料を積んだ船がガザ地区の沿岸に到着しましたが、ユニセフは同じ日、ガザ地区北部では2歳以下の子どもの3割以上が急性栄養失調の状態にあるなど多くの子どもが栄養失調に陥っていると指摘しました。

そのうえでユニセフのラッセル事務局長は「子どもたちの命を守るためには即時の人道的停戦と、多くの物資を陸路で運ぶための複数の検問所の開放が必要だ」と述べ、即時停戦とより多くの食料を運べる陸路での搬入の必要性を訴えました。

イスラエルとハマスの交渉 再開の見通し

イスラエルとハマスの間で、カタールなどを仲介役として続く戦闘の休止と人質の解放に向けた交渉は、双方の溝が埋まらず、一時、中断していましたが、ハマスは、イスラエル側に新たな案を示したことを明らかにしています。

ロイター通信はこの案の詳細についてまずはハマスが人質のうち女性や高齢者などを解放することを条件にイスラエルが刑務所に収容している700人から1000人のパレスチナ人を釈放するものだと伝えています。

そのうえで双方が停戦の日程などで合意し、さらに人質の解放を進めるなどとしています。

イスラエル首相府はハマス側の案について「非現実的な要求だ」とする声明を出したものの15日に交渉団を再びカタールに送ると発表し、中断していた交渉が再開される見通しとなりました。

一方で、イスラエル首相府はネタニヤフ首相が避難者など150万人近くが住むガザ地区南部のラファへの地上作戦の計画を承認したことも明らかにし、交渉に先立ち、ハマスへの圧力を強めています。

ラマダン始まって最初の金曜日 立ち入り拒否される少年も

現地では、イスラム教の断食月、ラマダンが始まって最初の金曜日を迎え、エルサレムの旧市街にあるイスラム教の聖地には集団礼拝のためおよそ8万人が訪れました。

現場付近では大きな混乱は見られませんでしたが、一部の少年がイスラエルの治安部隊によって立ち入りを拒否される様子も見られました。

また現地メディアはヨルダン川西岸からのパレスチナ人の訪問も大きく制限されたと伝えています。

立ち入りを拒否されたパレスチナ人の少年は「イスラエルの治安部隊は何も確認せずに私の顔だけを見て引き返すよう言いました。ほかの少年も同じように言われました」と訴えていました。

ガザ地区北部の沿岸に食料を運ぶ船到着

イスラエルの軍事作戦が続くガザ地区では物資の搬入が十分に進まず、アメリカ軍などが輸送機からパラシュートを使って食料を投下してきましたが、ガザ地区の保健当局はこれまでに北部で27人の子どもが栄養失調のため死亡したとするなど、食料不足が深刻化しています。

こうした中、現地により多くの支援物資を届けようと、EUやUAE=アラブ首長国連邦などが連携して海上輸送の計画を進め今月12日にキプロス南東部の港から食料を運ぶ船を出港させていました。

船は15日、ガザ地区北部の沿岸に到着し、食料の輸送などを担ったアメリカのNGO「ワールド・セントラル・キッチン」はSNSで「切実に求められている食料の荷降ろしを行っている」として、50万食分に相当する食料200トンを住民のもとに届ける準備を進めていると明らかにしました。

また、すでに第2便も出港に向けた準備を始めているということで今後、海上輸送で危機的な人道状況の改善につなげられるかが焦点です。

米国務長官 ガザ地区南部の地上作戦 “民間人保護を”

アメリカのブリンケン国務長官は15日、ネタニヤフ首相が承認した、ガザ地区南部のラファへの地上作戦の計画についてまだイスラエル側から示されていないとしたうえで「民間人を危険な場所から移動させるだけでなく、移動先でもシェルターや食料、薬などが確保され適切なケアを受けられるための明確かつ実行可能な計画が必要だ」と述べ、民間人の保護なしに作戦を進めるべきではないとする考えを改めて強調しました。