【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(3月16日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる16日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

国境地帯で戦闘激化「緊迫した状況」

ウクライナと国境を接するロシア西部のベルゴロド州などでは、ウクライナ側からとみられる越境攻撃が続いていて、ベルゴロド州の知事は16日、ミサイル攻撃で2人が死亡、3人がけがをしたと明らかにしました。

一方、ベルゴロド州などと国境を接するウクライナ北部のスムイ州の当局は15日、ロシア側からの攻撃で少なくとも3人が死亡、13人がけがをしたと発表し「緊迫した状況にある」としています。

攻撃を受けた地域の住民はこの3日間で180人以上が退避し、州内全体ではこれまでに22の集落から4500人以上が退避を余儀なくされたとしていて、両国の国境地帯では戦闘が激しくなっているものとみられます。

G7 イランに警告“ロシアに弾道ミサイル供与行えば制裁準備”

G7=主要7か国の首脳は15日、声明を発表し、イランに対し、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに弾道ミサイルや関連する技術の供与を行えば、新たに制裁を科す準備があると強く警告しました。

この中で「イランがロシアに弾道ミサイルや関連する技術の移転を検討しているとの報道がある」と指摘し、懸念を表明しました。

欧米側は、イランがこれまでロシアに無人機を供与していると非難してきましたが、先月にはアメリカ政府の高官が、ロシアに弾道ミサイルを供与する交渉が進んでいるという認識を示しています。

声明では「こうした措置は地域の不安定化を増大させる」とした上で「ロシアに弾道ミサイルや関連する技術の供与を進めた場合、迅速かつ協調的な方法で対応する用意がある」として、イランに対し新たな制裁を科す準備があると強く警告しました。

ロシア大統領選 一方的な併合宣言地域での実施を各国が非難

15日、ニューヨークの国連本部の安全保障理事会の議場前には各国の国連大使らが集まり、ウクライナのキスリツァ国連大使が共同声明を読み上げました。

はじめに、ロシアがウクライナへの軍事侵攻によって一方的に併合を宣言した地域でもロシアの大統領選挙だとする活動が行われていることについて「ロシアの違法な試みを最も強い言葉で非難する」と述べました。

その上で「同意なしにほかの国連加盟国の領土で選挙を行うのは、主権と領土保全の原則を明らかに無視する行為だ。そのような選挙は国際法上、何の効力も持たない」と強調しました。

そして「一時的に占領されたウクライナの領土で違法な選挙をやめるようロシアに求める」としたほか、ロシア軍の即時撤退を求めました。

また、これに先立って国連のグテーレス事務総長もコメントを出し「ロシアが占領するウクライナの地域で大統領選挙を実施しようする取り組みを非難する」としました。

これに対してロシアのポリャンスキー国連次席大使は、国連安保理の会合で内政干渉だと反発した上で「投票はロシアの憲法に完全に沿って行われる。すべての同胞には自由な選択をするために投票に行くよう呼びかけたい」と述べて、正当化しました。

ロシア西部で越境攻撃 プーチン大統領「投票への妨害」と非難

ロシアの大統領選挙には、プーチン大統領などあわせて4人が立候補し、15日、投票がロシア全土で始まり、17日までの3日間の日程で行われます。

一方、ウクライナと国境を接するロシア西部のベルゴロド州などでは、ウクライナ側からとみられる越境攻撃が続き、死傷者も出ているとロシア側は伝えています。

攻撃については、プーチン政権に反対し、ウクライナ側に立って戦うロシア人の義勇兵の組織が、越境攻撃を始めたと表明しています。

プーチン大統領は、15日、安全保障会議を開催し、2500人以上の兵士や戦車などによる攻撃だったとして「投票を妨害し、国境地帯の人々を脅すために、数多くの犯罪的な示威行為を実行しようとしている」と述べウクライナによるものだと非難しました。

そのうえで「こうした敵の攻撃が罰せられないことはない」と述べて、ウクライナへの報復を示唆しました。

プーチン大統領としては、ウクライナ侵攻を含めこれまでの路線に国民の信任を得たと示すためにも、選挙で圧倒的な得票で勝利したい考えで、越境攻撃に対し強い態度で臨む姿勢を示しました。

ウクライナ南部オデーサにミサイル攻撃 少なくとも20人が死亡

ウクライナ軍によりますと、15日、南部の都市オデーサにロシアによるミサイル攻撃があり、オデーサ州の知事は、地元メディアに対し少なくとも20人が死亡し、75人がけがをしたと明らかにしました。

また亡くなった人のなかには、住民のほか救助隊員なども含まれているということです。

ウクライナ軍は、ロシアによる攻撃は、短距離弾道ミサイル「イスカンデル」によるもので、住宅10棟やガソリンスタンドなどが被害を受けたと発表しています。

ゼレンスキー大統領「非常に卑劣な攻撃だ」

ゼレンスキー大統領は15日、ビデオメッセージを公開し、攻撃は2発のミサイルによるもので、救助隊員や医師が現場に到着したときに2発目のミサイル攻撃があったとして「非常に卑劣な攻撃だ」と述べ、ロシアを強く非難しました。

そのうえで「ウクライナ軍は、ロシアの殺人者たちが正当な反応を感じるようにあらゆることを行う」と述べ、報復を誓いました。

ドイツ フランス ポーランド 兵器調達などで一致

ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領、それにポーランドのトゥスク首相は15日、ドイツの首都ベルリンで会談しました。

会談後の共同記者発表で、ショルツ首相は「共通の目標はウクライナがロシアの侵攻から自国を効果的に防衛できるようにすることだ」と述べ、ウクライナへの供与のため、世界の市場でより多くの兵器の調達を行うほか、ウクライナと協力して兵器の生産の拡大に取り組むことで3か国が一致したことを明らかにしました。

その上でヨーロッパで凍結したロシアの資産から得られる利益をウクライナの兵器の購入資金にあてる考えも示しました。

また、マクロン大統領は「われわれ3人が団結し、ロシアに負けず、最後までウクライナを支援するという決意を固めた事実は、ヨーロッパの安全保障の力にもなる」と強調しました。

ショルツ首相とマクロン大統領の間では、ウクライナへの軍事支援をめぐり立場の違いも明らかになっていますが、今回の首脳会談は結束を演出する形となっています。