参院予算委 首相 “衆院政倫審踏まえ さらなる聴き取り判断”

国会は参議院予算委員会で集中審議が行われ、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、岸田総理大臣は、来週行われる衆議院政治倫理審査会も踏まえ、党として関係者のさらなる聴き取りを行うか判断する考えを示しました。

子育て支援めぐり

自民党の加藤明良氏は、子育て支援をめぐり「義務教育での給食無償化を前向きに検討してほしい。その上で『地産地消』や食育、オーガニック食材の活用を無償化の条件にしてはどうかと考えるが、見解を示してほしい」と質問しました。

これに対し、岸田総理大臣は「全国ベースの実態調査の結果を6月までに公表したうえで課題を整理し結論を出す。地場産食材や有機農産物の活用は食文化や環境への理解を深めるのに有効で、調整にあたるコーディネーターの派遣を通じて支援し活用の促進を図る」と述べました。

自民党青年局の懇親会めぐり

立憲民主党の石川大我氏は、自民党青年局の近畿ブロック会議の懇親会に露出の多い女性ダンサーが招かれ、口移しでチップを渡す参加者がいたことなどをめぐり「懇親会の意義を多様性とする説明には極めて違和感があり、聞いてあきれる。問題について岸田総理大臣の責任で報告書を出すと約束するか」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「今回のパーティーは極めて不適切で誠に遺憾だ。指摘されているような事実があったこと自体が大きな問題だ。党の対応が問われており、組織運動本部でしっかり事実を確認したうえで事案を整理し、取りまとめていかなければならない」と述べました。

また、辞任した青年局長らに離党を勧告する考えがあるか問われ「そういった報告は党の組織運動本部から受けてはいない。いずれにせよ事実を確認したうえで適切に対応することになる」と述べました。

災害対策めぐり

公明党の山本政務調査会長代理は、災害対策をめぐり「75年以上前に制定された災害救助法は一度も抜本的な見直しがされておらず、救助の種類に介護など福祉が含まれていない。災害時に福祉の視点で支援する仕組みを構築するため、福祉を明記する法改正をしてもらいたい」と求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「現行法の運用でも福祉避難所の設置など福祉的な配慮を含め、支援を行っている。個々の災害の教訓を踏まえ対策の不断な見直しを図ることは重要で、福祉の観点はしっかり反映されるよう努力していかなければならない」と述べました。

自民 派閥の政治資金パーティーめぐる問題

日本維新の会の高木かおり氏は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で収支報告書に記載されていなかったキックバックなどの収入について「きょうは確定申告の最終日だ。疑惑が持たれている議員から『納税をしたい』という申し出や相談はあったか」と質問しました。

これに対し、岸田総理大臣は「納税は政治資金が、政治団体に帰属するか、個人に帰属するかで法的に変わってくる。実態把握の中で個人で政治資金を受け取ったという事案はなく、結果として納税の対応を考えているケースも把握していない」と述べました。

“年収の壁”対策 配偶者手当てについて

国民民主党の田村麻美氏は、いわゆる「年収の壁」対策で政府が企業に見直しを促すとしている、収入を基準とした配偶者手当について「徐々に減ってきているとはいえ、いまだにおよそ半数の企業で残っており、去年は増加に転じた。見直しの促進をどう考えているか」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「手当の支給に配偶者の収入要件を設けている事業所の割合は依然として高水準にある。各都道府県で開催する『地方版政労使会議』などで周知に取り組んでおり、今後もさまざまな機会を通じ、労使に見直しを促し続けたい」と述べました。

パーティー収入のキックバックめぐり

共産党の小池書記局長は、安倍派でいったんとりやめる方針を決めたパーティー収入のキックバックが続けられたことをめぐり「世耕・前参議院幹事長は政治倫理審査会で『誰がこんなことを決めたのか知りたい』と述べたが、知りたいのはこっちだ。幹部で言うことが違うのだから、真相を明らかにするには証人喚問にそろって出席させ、問いただすしかない」と迫りました。

これに対し、岸田総理大臣は「政治倫理審査会の弁明のみを持って説明責任が尽くされたとは申し上げておらず、説明の努力は続けられなければならない。来週の衆議院での政治倫理審査会の弁明も踏まえ、党として関係者のさらなる聴取を行うか判断する」と述べました。

さらに、聴取を行うか判断する対象となる関係者にかつて派閥の会長を務めた森元総理大臣を含めるよう求められ「関係者の中に森元総理大臣も入ると認識している。そのうえで対応を判断する」と述べました。

「就職氷河期」世代への支援めぐり

れいわ新選組の山本代表は、いわゆる「就職氷河期」世代への支援をめぐり「1人で生きるだけが精いっぱいで家族など持てない人が多い。国が経済的支援を怠った結果だ。『ロストジェネレーション』に特化した生活経済実態調査を検討すべきだ」と指摘しました。

これに対し、岸田総理大臣は「去年取りまとめた経済対策や新年度予算案では『就職氷河期世代』を正規雇用する際の助成金の増額と合わせ、調査についても自治体向けの交付金による地域の実態把握を促進している。ぜひ取り組みを深めていきたい」と述べました。

「選択的夫婦別姓」について

さらに、希望すれば結婚前の姓を名乗れる「選択的夫婦別姓」について、岸田総理大臣は「自民党の中で制度を推進する人もいる一方、慎重な議論もあるのが現実だ。背景にはこの問題に対する国民の認識もあり、それらを踏まえ国会でどのような議論を行うのかを判断していく」と述べました。