“ガザ地区は世界最悪の人道危機 食料の支援は一刻争う”WFP

WFP=世界食糧計画のスコウ副事務局長がNHKの取材に応じ、人道危機が深まるガザ地区の状況について、「いまや世界最悪の人道危機であり、状況は壊滅的だ」と述べ、住民への食料の支援は一刻を争うと訴えました。

日本を訪れているWFPのナンバー2にあたるカール・スコウ副事務局長は、15日に都内でNHKのインタビューに応じました。

この中で、ガザ地区について「壊滅的な状況で、いまや世界最悪の人道危機だ。とりわけ北部では人口のおよそ90%が飢餓状態にあると推定される。4か月前には問題にされていなかった栄養失調で子どもたちが死亡し始めている」として、食料の支援は一刻を争うと訴えました。

そして、WFPが3月12日に、3週間ぶりに食料支援を再開した際の様子について、「食料を受け取った家族は、その場に座り込み、路上で豆の缶詰を食べ始めた。食料を持ち運ぶ力さえなくなっている」と、切迫した状況を語りました。

また、3月12日に始まった、地中海の島国キプロスからガザ地区に向けた食料の海上輸送について、アメリカやEU=ヨーロッパ連合がイスラエル側と調整を進めているとの見方を示しました。

一方でスコウ副事務局長は、空や海からの搬入の動きに一定の評価をしながらも、「住民の飢えを解消する唯一の方法は、安全な陸上のルートを確保することだ。空からの投下や海上からの輸送には、物資の量に限界がある」と述べ、あくまでも陸路の確保が重要だと指摘しました。