日銀 18日から金融政策決定会合 マイナス金利政策解除か議論へ

日銀は来週18日から2日間の日程で金融政策決定会合を開きます。15日公表された春闘の賃上げ率の結果も踏まえて賃金と物価の情勢を確認し、マイナス金利政策を解除すべきかどうか議論を行います。

日銀は賃金の上昇を伴う形で2%の物価安定目標の実現が見通せれば今の大規模な金融緩和策を転換するとしています。

国内の企業の間では価格転嫁の動きが広がり、消費者物価指数の上昇率はことし1月まで1年10か月にわたって目標とする2%以上の水準が続いています。

また、日銀が重要視していることしの春闘は、15日公表された連合の集計で平均の賃上げ率が5.28%と33年ぶりに5%を超える水準となっています。

18日から2日間、開かれる金融政策決定会合を前に植田総裁は、今週、国会で、春闘は大きなポイントだとして「公表されるデータ、ヒアリング情報などを総合的に点検した上で適切に判断する」と述べています。

決定会合で、日銀は、春闘のデータも踏まえ、賃金と物価の情勢を丁寧に確認することにしています。

その上で、マイナス金利政策を解除すべきかどうかや、短期金利に加えて長期金利も抑え込む「イールドカーブ・コントロール」という枠組みを変更するのかなど大規模な金融緩和策の転換について議論を行います。

マイナス金利を解除して金利を引き上げれば17年ぶりとなり、経済や金融市場への影響も予想されることから、日銀の判断への関心が高まっています。

日銀 政策転換に前向きな発信も

ことしに入って、日銀はさまざまな機会を通じて金融政策の転換に関する発信を行ってきました。

1月、植田総裁は金融政策決定会合の後の記者会見で、2%の物価安定目標について、「実現する確度は引き続き、少しずつ高まっている」と述べ、政策転換の前提が整いつつあるという認識をにじませました。

その後、公表された1月会合の「主な意見」では、出席した委員から、「出口についての議論を本格化させていくことが必要である」とか、「マイナス金利解除を含めた政策修正の要件は満たされつつある」など政策転換に向けて前向きな発言が相次いでいたことが明らかになりました。

2月、長年にわたって金融政策の策定に深く関わってきた内田副総裁は、講演とその後の記者会見で、政策転換にあたって重視している賃上げの動向について、「去年よりもよい状況がいくつかそろっている」と指摘しました。

また、「仮にマイナス金利を解除してもその後にどんどん利上げしていくようなパスは考えにくく緩和的な金融環境を維持していくことになる」と述べ、政策転換後の具体的な姿を示唆しました。

同じく2月、金融政策を決めるメンバーの1人、高田創 審議委員は、講演で「2%の物価安定目標の実現がようやく見通せる状況になってきた」と強調し、「極めて強い金融緩和からのギアシフト、例えばマイナス金利の解除など出口への対応も含めた検討も必要と考えている」と述べました。

さらに、3月に入ると、中川順子 審議委員が講演で「賃金と物価の好循環が展望できると考えている。2%の物価安定目標の実現に向けて着実に歩みを進めている」と述べたうえで、金融政策を見直す場合には、マイナス金利や「イールドカーブ・コントロール」と呼ばれる枠組などの政策手段を修正する必要性があるかどうか判断する考えを示しました。

こうした日銀の発信を受けて、金融市場でも、政策転換が近いという見方が徐々に強まってきています。