岸田首相 IAEA事務局長 処理水の安全性確保など緊密連携で一致

東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、岸田総理大臣は、日本を訪れているIAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長と会談し、安全性の確保などの面で今後も緊密に連携していくことで一致しました。

IAEAは、去年8月に福島第一原発にたまる処理水の海への放出が始まって以降も、安全性の検証を続けていて、グロッシ事務局長は放出から半年が経過したことを踏まえて状況を確認することを目的に来日しました。

会談は、14日午後、総理大臣官邸で行われ、この中で岸田総理大臣は、処理水放出をめぐるグロッシ事務局長のこれまでの対応について「力強いコミットメントだ」と謝意を示しました。

そのうえで、日本として、引き続き科学的根拠に基づいた透明性のある取り組みを通じ、国際社会の理解と支持を広げていく考えを伝えました。

これに対し、グロッシ事務局長は、13日に福島第一原発を視察したことに触れ、放出が国際的な基準にのっとり、実施されていることを確認したと伝え、両氏は今後も安全性の確保などの面で、緊密に連携していくことで一致しました。

このほか両氏は、核不拡散や原子力の平和的利用をめぐっても意見を交わし、こうした分野でも協力を強化していくことを申し合わせました。

上川外相「中立で独立的な取り組など心から感謝」

グロッシ事務局長は、東京 港区の飯倉公館で、上川外務大臣とも会談しました。

この中で、上川大臣は「IAEAの中立で独立的な取り組みや、科学的見地からの関与に心から感謝している。引き続き連携したい」と述べ、今後も協力していくことを確認しました。

また、IAEAが進める核不拡散や原子力の平和的利用の取り組みを後押しするため、日本政府として、およそ1850万ユーロ、日本円でおよそ30億円の支援を行うことも伝えました。

上川大臣は共同記者発表で「今後もIAEAの関与を得て、科学的根拠に基づき、コミュニケーションを図りながら、国際社会の理解と支持を広げていきたい」と述べました。