今月8日、ヤクルトとのオープン戦に今シーズン初めて先発しました。
復活を期すエース~阪神・青柳晃洋~
「野球人生をかけた1年」
こう決意を口にしているのは阪神の青柳晃洋投手(30)。
去年は不本意な成績に終わり、チームの日本一の陰で苦しんだエースが、2年連続の開幕投手から復活を期すシーズンに臨みます。
オープン戦初登板で好投
右の下手投げ気味のサイドスローから力のあるストレートに大きく曲がるスライダーで4イニングをヒットわずか1本、無失点に抑える好投で順調な調整ぶりを見せました。
“普通に考えたら”青柳
この登板の前夜、大阪市内で行われた激励会で岡田彰布監督から開幕投手に指名されました。
昨シーズンに続いて2年連続の大役です。
青柳晃洋投手
「ずっと開幕をやりたいと思っていたし狙う場所だった。しっかり状態を上げていければ」
岡田彰布監督
「最初から決めとったよ。正月からよ。普通に考えたら青柳やろ。ほかに誰おるん?」
去年は役割を果たせず
青柳投手はおととし(22年)まで2年連続で最多勝などのタイトルを獲得し、チームの絶対的な存在となりました。
しかし昨シーズンは初めて開幕投手を務めたものの不振で2軍落ちを経験。
勝ち星は8勝にとどまり防御率4.57と思うような成績を残せませんでした。
その一方で、チームは38年ぶりの悲願を達成し、悔しいを思いを募らせていました。
青柳晃洋投手
「まぁ最悪のシーズンだったなという、個人としては。もちろんチームが優勝したり、日本一になったりとかすばらしい経験をさせてもらったんですけど。個人としては思うようにいかなかった。8勝はしたけど勝たせてもらったような勝ちが多かったので、悔やまれるシーズンだった」
感覚通りに体を操るために!
復活を期す9年目のシーズンに向けて、オフから取り組んできたのが“感覚通りに操ることのできる体づくり”です。
昨シーズンの不調の要因を「体が思うように動かなかったことが1番」と分析したからでした。
特にボールを投げる右肩周りなどの可動域は、おととしまでと比べて狭まっていました。
青柳投手は、左足をバッターの方に前に踏み込んだ瞬間、上半身を三塁方向に向けしっかりと“ため”を作ってから投げるフォームで力のあるボールを投げてきました。
しかし、可動域が狭まっていたことで上半身が早く回ってしまい、納得のいくボールを投げることができていなかったと言います。
青柳晃洋投手
「可動域が左と右で全然違って右が硬かった。投げに行って足をついた時に本当は下半身は左に回旋し、上半身は逆に右に回旋して残るんですが、可動域が狭まり硬かったので、どうしてもその回旋する角度が浅くなってしまっていました。
何年も投げ続けてきた疲れなのか、年齢なのかはわからないですが。体と感覚がすべてずれてく感じだった。いつもどおりの感覚で投げているのに体がついてこなかった」
そこで、オフの自主トレーニングで入念に行っていたのが肩周りなどの可動域を広げるためのトレーニングとストレッチなどウォーミングアップのメニューです。
実に75種類ものメニューをおよそ1時間半、じっくり取り組み続けました。
2月の沖縄キャンプでは、朝8時過ぎには球場に入り若手選手に交じってひたすらウォーミングアップを続けました。
30歳過ぎて新たな挑戦!
さらに体重の増加にも挑戦しました。
これまで体重82キロほどでシーズンを戦ってきた青柳投手はボールを投げる力をより強くするため、ストレートの球速や威力を上げようとウエイトトレーニングを多くして体重を5キロほど増やしたのです。
ことしで31歳を迎える青柳投手にとって初めての取り組みでした。
青柳晃洋投手
「去年あまり成績が振るわなかったので変えるならことししかないと思った。より良くなるためのポテンシャルがまだ余っていた。これまでは、技術の方でよりうまくなろうと思っていたので体を変えなかった。フィジカルも合わせて、技術とフィジカルが上がっていけば、もう少し進化できると思っている」
今季のボールは見違えるように…
成果は確実に出ています。
キャンプのブルペンではストレートを中心に力強いボールを投げ込みました。
2月中旬に行われた初めての実戦登板では、ストレートの球速が例年の同じ時期より5キロ以上も速くなっていたのです。
青柳晃洋投手
「(ボールは)めちゃくちゃいいと思います。本当に例年にないくらい。自分の投げている感覚もいいしいっているボールもいい。受けたキャッチャーが『まっすぐがいい』とみんな言ってくれるので。やってきたことが顕著に出ていると思う」
岡田監督もことしのボールには、目を見張るものがあると高く評価しています。
岡田彰布監督
「青柳はいい。今年ね、おーん。キャンプでも全然、ブルペンのボールは全然違うし。ことしはコントロールがいい。期待大。普通に投げたら勝てるピッチャーだから」
野球人生をかけて…
不本意なシーズンを終えた青柳投手が、幾度となく口にしてきたのが「野球人生をかけた1年」
強い覚悟をこの言葉に込めてきました。
2年連続の大役を託されたエースが復活を果たした先に、球団史上初の偉業がぐっと近づくに違いありません。
青柳晃洋投手
「ことしダメだった時に、本当にズルズルいってしまうのではないかと思っている。活躍しててダメになって、2年連続ダメで、そこから戻ってくるのはなかなか難しいと思う。ことし僕の成績が良ければ、さらに優勝に近づくと思う。すべての成績のキャリアハイを果たして連覇の輪の中心にいたい」
取材 阪神担当・中村拓斗
(3月15日 「ほっと関西」で放送)