【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(3月14日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる14日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ・ロシア各地で無人機攻撃の応酬

ウクライナ軍などによりますと、13日から14日にかけて、ロシアの無人機36機による攻撃があり、このうち北東部スムイ州では、住宅12棟や学校の建物が被害を受けたということです。

12日には、ゼレンスキー大統領の出身地、東部ドニプロペトロウシク州のクリビーリフで、集合住宅がミサイル攻撃を受け、5人が死亡し、50人がけがをしたほか、13日も、東部ドネツク州などであわせて4人が死亡するなど連日、市街地への攻撃で市民の犠牲が相次いでいます。

一方、このところ、ロシア各地の石油関連施設などを狙った無人機による攻撃が続いていて、西部ニジニ・ノブゴロド州のロシア第2の石油会社「ルクオイル」の製油所などでは火災も発生し、生産への影響も指摘されています。ウクライナ側は攻撃への関与を示唆し、ウクライナ保安庁によるロシアの戦闘継続につながる経済力をそぐことを目的にした攻撃だとも伝えられています。

こうした攻撃について、ロシアのプーチン大統領は、13日に公開されたインタビューのなかで「ロシアの大統領選挙を混乱させることではなくても、何らかの形で国民の意思表明の過程を妨害することが目的だ」と述べ非難しています。プーチン政権は、15日からの大統領選挙を前に、警戒を強めているものとみられます。

ウクライナ司法相「凍結のロシア資産 ウクライナ復興に活用を」

ウクライナのマリウスカ司法相は13日、訪問先のアメリカの首都ワシントンで、欧米や日本などがロシアへの経済制裁としてロシア中央銀行が保有するおよそ2850億ドル、日本円にして41兆円余りの資産を凍結したことについて記者会見を開きました。

この中で、マリウスカ司法相は「ロシアは国際法に違反し、ウクライナだけでなく、ほかの国々に対しても経済や難民の受け入れで被害を与えた」と述べ、欧米や日本もロシアの軍事侵攻の被害を受けたと指摘しました。

そして、「こうした被害を受けた国々は、ロシアに対抗措置をとることができる。国際法でも認められている」と述べ、凍結したロシアの資産を没収することもできると主張しました。

その上で、マリウスカ司法相は、欧米や日本が資金を拠出し、ウクライナの復興に向けた支援に取り組んでいることを踏まえ、こうした支援にロシアの資産を活用するよう呼びかけました。

EU ウクライナ軍事支援の基金 8000億円余積み増しで合意

EU=ヨーロッパ連合の加盟国は13日、大使級会合でウクライナに軍事支援を行うための基金について協議しました。

その結果、ことし分として50億ユーロ、8000億円余りを積み増すことで原則合意したと、EUの議長国を務めるベルギーはSNSへの投稿で明らかにしました。

この基金からは、これまでに9800億円余りがウクライナへの軍事支援にあてられてきましたが、積み増しをめぐっては、加盟国の一部が反対して協議が難航してきました。

ベルギーは今回の合意を受けて、「EUはウクライナが自衛のために必要な軍の装備を確保できるよう、継続して支援することを固く決意している」としています。

ウクライナのクレバ外相も、「ヨーロッパが結束し、勝利を得るため決意していることを改めて力強く、よいタイミングで示すものだ」とSNSに投稿して謝意を示しました。

ウクライナへの軍事支援をめぐっては、アメリカも、緊急予算案の協議が議会で難航するなかで12日、コスト削減で捻出した440億円相当の新たな支援を行うことを明らかにしています。

プーチン大統領「国家存続の危機には 核兵器使用辞さず」

ロシア大統領府は13日、プーチン大統領が国営テレビなどへのインタビューに応じた内容を公開しました。このなかでプーチン大統領は、核戦争の準備があるのかとの質問に対して「軍事技術の観点から言えば、もちろん準備はできている」と述べ、核戦力は常に臨戦態勢にあると強調しました。

一方、プーチン大統領はウクライナへの軍事侵攻において、これまでに核兵器使用の必要性に直面したことは一度もないという認識を明らかにしました。

ただ「主権や独立が損なわれる事態になれば、核兵器も含め、あらゆる兵器を使用する準備ができている」と述べ、国家存続の危機にさらされれば、核兵器の使用を辞さないとの立場を改めて示し、ウクライナへの支援を続ける欧米側に対して核戦力を誇示して威嚇しました。

プーチン大統領としては、3月15日からの大統領選挙を前に、国民に対して強いロシアの指導者としての姿を示すねらいもあったとみられます。

南部の都市オデーサ「ロシアの都市として期待」

プーチン大統領はインタビューの中で、ウクライナ侵攻をめぐって、フランスのマクロン大統領がウクライナへ地上部隊を派遣する可能性に言及したことについて「外国の部隊が派遣されても、兵器の供与と同様、戦況を変えることはできないと確信している」と述べた上で「深刻な地政学的な影響を引き起こす可能性がある」として警告しました。

一方、ロシアはウクライナ東部や南部に支配地域を拡大させているとしたうえで、南部の都市オデーサについて「ロシアの都市として期待があるか」と聞かれたのに対し、プーチン大統領は「もちろんだ。人口密度がとても高く、気候は素晴らしい」と述べ、今後の侵攻を示唆した発言の可能性もあります。

また、プーチン大統領はウクライナ侵攻について「平和的な手段で解決する用意がある」と述べた一方で、あくまでもロシアの安全保障の確保が前提だと主張し、和平交渉に応じる構えも示して、欧米側に揺さぶりをかけるねらいとみられます。