iPS細胞で新たな治験へ 重い心臓病の患者に細胞シート移植

iPS細胞から作製した心臓の筋肉の細胞をシート状にして「拡張型心筋症」という重い心臓病の患者に移植し、心機能の回復を目指す治験を大阪大学のグループが新たに行うことになりました。

治験を実施するのは大阪大学の宮川繁教授らのグループです。

計画ではiPS細胞から心臓の筋肉の細胞を作り、シート状に培養した「心筋細胞シート」を「拡張型心筋症」という重い心臓病の患者4人に移植する手術を行う予定です。

「拡張型心筋症」は心臓の筋肉が弱くなって心室が拡張する病気で、国内でおよそ2万人の患者がいると推定され、根本的な治療には心臓移植が必要とされています。

グループでは心筋細胞シートの移植によって心臓の筋肉の収縮力を改善させて、心臓移植が必要な状態にならないようにする治療法の確立を目指すということです。

大阪大学では2020年から、「虚血性心筋症」という別の心臓病の患者8人に心筋細胞シートを移植する同様の治験を実施していて、国の承認を目指しています。

宮川教授は「心臓の移植を待つ患者のうちのほとんどを拡張型心筋症と虚血性心筋症が占めている。『心筋細胞シート』での治療が可能になれば、心臓移植以外の選択肢を示すことができると考えている」と話していました。