石川 珠洲 農地や農業施設に甚大被害も田植えに向け準備の動き

能登半島地震では、石川県内の各地で農地に亀裂が入ったり用水路が壊れたりするなど、農業も深刻な打撃を受けています。こうした中、被災した石川県珠洲市の農業者の中には、今後の復旧を見込んで田植えに向けた準備を進める動きも出ています。

石川県のまとめによりますと、能登半島地震では12日の時点で、石川県内で農地に亀裂が入ったり「のり面」が崩壊するなどの被害が761件、用水路や排水路が破損するなどの被害が1145件確認されていますが、珠洲市などは被害が甚大で調査が終わっていないため、被害の全容が把握できていません。

こうした中でも、被災した農業者の中には、今後の復旧を見込んで田植えに向けた準備を進める動きも出ています。

このうち、珠洲市若山町出田の農業法人「すえひろ」では、従業員たちが、田んぼに続く用水路に詰まった泥やゴミを取り除く作業を進めたり、例年3月末に行う1回目の種まきに向けて、種もみや肥料を発注したりして準備を進めています。

「すえひろ」が作付けするおよそ115ヘクタールの田んぼでも、6割近くで地割れや隆起などの被害が出ていて、こうした田んぼでは稲作が難しいことから、被害が少ない場所を選んで作付けを目指しています。

また、水の確保も大きな課題で、壊れた用水路やパイプラインは復旧の見通しが立っておらず、復旧しない場合には近くの川にポンプを設置し、水をくみ上げる計画も検討しているということです。

「すえひろ」の広報、政田将昭さんは「1年でも耕作をやめると、田んぼに戻すのは大変なので、少しでもいい米を届けるため、社員一丸で頑張っています。今は復旧できるか分からないが、すぐ作業できるように進めています」と話しています。